今年3月に開催されたツタロックフェスのオーディションでグランプリを飾った大阪在住のOh No Darkness!!(オーノーダークネス)。メンバーはちさと(Ba, Vo)、クボ(Gt)の2名(ライブではサポートメンバーが加わる)。
90年代後半から2000年代のオルタナティブ・ロックやパワーポップをルーツに持つサウンドに、浮遊感を湛えた女性ヴォーカルが重なり、独自の世界観を打ち出している。

10月9日にリリースされた全6曲入りの初EP『Oh No Darkness!!』は、初の全国流通盤。今までライブ会場で手売りされていた音源も含めて、結成から現在に至るまでのベスト盤的な6曲を詰め込んだ1作に仕上がっている。

-ほぼ初インタビューということなので、まずは自己紹介と結成してから今日までの活動を教えて頂けますか。

カワハタチサト:2011年に大学のバンドサークルでクボと出会いました。そこで現在この2人と、ギター、ドラムの4人で「最後に思い出作りにライブハウスでやろうぜ」ってやり始めたのがきっかけです(笑)。そこからギターとボーカルがやめてしまって私がボーカルを代わりにやるようになって。元々曲自体はクボが作っていたのでそのまま続けていったら今の状態(メンバー2人)に至っております(笑)。

-最初から音楽性って今みたいな感じだったのですか?

クボタイジ:初期の4人の頃はパワーポップみたいなノリでやっていたんですけど、抜けたメンバーがギターボーカルで男だったのもあるんで割と全然違うバンドでしたね。

-結成当初のメンバーも含みで、メンバー全員が好きだった、影響受けたあたりのバンドってどのあたりでした?

クボタイジ:その4人ではずっと学生時代のサークルでアジカンのコピーをずっとやっていたので、アジカンはみんな好きでしたね。他は、結構バラバラでしたかね。

-お二人音楽のルーツや背景をお聞かせいただけますか。


クボタイジ:僕は中学生の頃からアジカンがずっと好きなんですけど、高校生に上がって、その時点で後追いなんですけど、ザ・ストロークスとか聴いたり、大学に入って90年代に遡って、スマパンとかマイブラとかっていう感じですね。で、そこから色々聴きましたけど、結局一番好きなのはオルタナ系ですかね。

-アジカン入口で、ゴッチさんのルーツを探っていって、辿っていったら90年代のオルタナまで行き着いたっていう感じですよね。チサトさんは?

カワハタチサト:私は全然バンドを聴かなかったのですが、大学のサークルに入ってから色々バンド聴きだして、はじめはアジカン、くるり、フジファブリックとかを聴いてました。で、このバンドやるようになってから色々教えてもらったりして、スマパンやザ・ストロークスとかにもハマりました。あと最近は好みのサウンドがどんどん重くなっていって、メタル系や、コーン、メタリカあたりを聴くようになっていきました。あとはYUKIさんとかクラムボンとか女性ヴォーカル系も好きです。

-取材前にGoogleで検索してお二人が着ているバンドTシャツを全部チェックしてきたんですけど、発見できたのはバズコックス、スマパン、ブラック・サバス、ライド、メタリカ、ダイナソーJr.あたりなんですけど、合ってます?(笑)

カワハタチサト:合ってます(笑)。

-個人的にTシャツから音楽の背景を感じるのがすごく好きなんですけど(笑)、そのTシャツ来ているバンド中だと、何が一番好きですか?

クボタイジ:バズコックスですかね。パンクバンドっていう人もいますけど聴いてみたらこれパワーポップやんって。ああいうバズコックスのかわいさというか取っ付きやすさはすごく理想にするバンドの1つですね。

カワハタチサト:私はスマパンです。
スマパンもこのバンド始めてから聴いたぐらいなんですけど一番ハマりました。あのサウンドの感じで、めっちゃメロディも綺麗じゃないですかスマパンって。あのバランス感がすごくかっこよくて好きですね。

Oh No Darkness!!という名前の意味

-少し話題変えまして、Rolling Stone Japanはオフィシャルメディアとして、ツタロックフェスにも関わっているのですが、あの規模のイベントってたぶん初めてだったと思うのですがどうでしたか?

クボタイジ:めちゃくちゃ楽しかったです。

カワハタチサト:緊張していることもわからんぐらい緊張してました(笑)。

クボタイジ:やって終わったら楽しかった。お客さんのリアクションを見る余裕とかはなかったですけど、あの時点でやれることはやりきったんじゃないかと思います。

-ありがとうございます。さて、Oh No Darkness!!というバンド名はどういう意味があるんですか?

クボタイジ:最初4人で集まって1人1つ英単語を言おうってなって僕は最初からどうしてもDarknessって入れたくて(笑)。

カワハタチサト:思いつかなくて私がOh Noって言って「じゃあOh No Darkness!!」でいいやんって言い出して。で、めっちゃ適当にそこで決まってしまったのがバンド名です(笑)

クボタイジ:結局他の2人は単語言えてない(笑)。

-なるほど(笑)。
わかりました。音楽を作る上でのモチベーションってどこにあります?

クボタイジ:高2の頃にギターを始めて、バンドを組むのは大学4回生なんですけど高3から大学1、2、3年の間でも曲自体は作っていて、最初は全然技術もないので完成しただけで嬉しかったんですけど、「こういうバンドがいたらいいな」って自分のために完全に作っていて。あとは、今でもそうですけど「こういうバランスのバンドが他にいないじゃん」みたいな感じで作っています。

-チサトさんはどうですか?

カワハタチサト:基本的に作曲はクボがやるのですが、曲によっては、歌のメロディと歌詞を私が作るんすけど、「すごく重たいサウンドなのにすごく聴きやすい」という変なバランスなのがOh No Darkness!!の魅力かなと思っていて。好きなサウンドを出しつつ、素敵なメロディがつけられたらいいな、っていうので私は作っています。

クボタイジ:あと、僕は元々大学で映画・映像学科で、小学生ぐらいの時に漠然と映画を作りたいなと思って、その後大学に入ったんですけど、元々何かを作るっていうのが好きで、自分の頭の中のものを誰でも見られるような状態にアウトプットすることが、すごく楽しいなって思っていて。その延長線上でもあるんですけど単純にレコーディングはめちゃくちゃ楽しくて大好きなので、「少しずつ自分の頭の中のものが実現されていく」っていう喜びがあります。だからあんまり深く考えてないかもしれないです(苦笑)子供の頃、粘土で自分の好きな形を作って飾っていたりするのと同じで、それの延長線みたいな感じです。

-音源制作の話が出ましたが、普段どういうプロセスで曲って作っいますか?デモを作って、リハスタで合わせて、プリプロして、レコーディングするのが、通常のバンドの制作プロセスかな、思ってるんですけど。

クボタイジ:だいたいそんな感じで、僕が歌メロも全部作る曲は9割ぐらい詰めてドラムもベースも全部つっこんで作ったものをスタジオでみんなで合わせてブラッシュアップして。で最近はオケまで僕が作って、歌メロ任せる、みたいな感じですね。ほとんど最近そんな感じです。


海外からの反応

-あとYouTubeを見させてもらっていて、コメント欄に海外の方からも反応あったんですけど、音楽的な背景も洋楽もあったりもしつつ、海外での活動ってどう考えています?

カワハタチサト:やってみたいですね。

クボタイジ:影響を一番ウケいてるのが海外なのでそういう国の人にウケたいなとは思ってますね。

カワハタチサト:YouTubeのコメント欄もそうですし、Twitterとかでも たまに海外の人から反応があったりするのでめっちゃ行ってみたいですね。
クボタイジ アルゼンチン人から、どうしても音源がほしいって言われて、その時はサブスクに曲を出す予定もなかったので「住所教えてくれたら、送ってあげるよ」って普通にお金とかもらわず全部送ったことあります。

-さて、『Oh No Darkness!!というバンドの魅力を他人に伝えてください』というお題があったとしたら、『「ポップなものとダークなもの」「かかわいいものと汚いもの」など、様々な両極端な要素が絶妙なバランスで共存しいてるのが魅力です』って人に伝えるかなって、思ったんですけど、お二人ご自身から『僕らのバンドってこういう魅力なんです』とか、『こういう音楽です』って人に言葉で伝えるとしたら、どういう表現になります?

クボタイジ:まさにそんな感じですね。重たいサウンドとふわっとポップなボーカル、どっちかに振り切らないで新しいものを作るみたいなのをずっとやりたいと思って、そういう振り幅とかバランス感を自分達の売りにしているというか。

カワハタチサト:そうですね。さっきも言っていたんですけど「このサウンドにこのボーカル乗っているバンドいないでしょ」っていう感じは思っています。曲調も幅があって、パワーポップ寄りもあるしちょっとダークなかっこいいのもあるし。でも「全てがOh No Darkness!!ですよ」っていう感じが魅力ってことになりますかね。

-ありがとうございます。さて、Oh No Darkness!!の今後の野望みたいなものあります?例えば普通にドームでライブやってみたいとか、アメリカでツアーをやりたいとか、CDをたくさん売りたいとか。


カワハタチサト:今回、CDの全国流通をするので初見の人が全員このバンドすげぇって思わせられるようなライブをすることが野望?ですかね(笑)
クボタイジ まだまだ本当に誰にも知られていないバンドだと思うので、1人でも多くの人にOh No Darkness!!の存在を知ってほしいですね。

-あとTwitterでメンバー募集していますが、結構切実ですよね(苦笑)。

カワハタチサト:TwitterでもKORNみたいなドラムがほしいって書いたんですけどホンマにKORNのドラム入ってきてくれたらいいなって(笑)。

クボタイジ あとはコーラスのできるギター弾ける人が。

-やっぱもうひとりギターがいてほしい?

カワハタチサト:ギターの掛け合いがある曲とかもあるので、できる曲は確かに3人でもいけるかなっていうのはあるんですけど、暗い曲しかできなくなっちゃうんですよね、ギターが1本しかないと。趣味が合えば、あとはどうにかなると思うのでとりあえず誰でもいいから入ってほしいです(苦笑)。

-最後に、読者へ今回の作品通して何か伝えたいことやメッセージがあればお願いします。

クボタイジ:高校生の時の僕みたいな人に聴いて欲しいですね(笑)僕は高校の時からあまりリアルタイムの音楽を聴いてなくて、ルーツを辿る聴き方をしていて、「こんな昔にこんなかっこいいバンドいたんだ」みたいな感じで聴いていたんですけど、そういうバンド好きのキッズに聴いてほしいなって思います。

カワハタチサト:昔の曲から最近の曲までのベストみたいな感じで曲が入っていて、曲調もいろいろあって、重たいサウンドのもあればパワーポップもあり、色んな人が聴いて「いい!」と思ってくれる要素がいっぱい詰まっていると思うので、色んな人が聴いてくれたらいいなと思います。

<INFORMATION>

新鋭デュオ、Oh No Darkness!!に漂う「オルタナ感」の正体

『Oh No Darkness!!』
Oh No Darkness!!
EGGS-041
発売中
1. A-90
2. 火星年代記
3. CAST  
4. Escape
5. How To Listen
6. Bossanova!!!

「Oh No Darkness!!」リリースパーティー
EP「Oh No Darkness!!」Release Party《INTO DARKNESS!!》

2020年1月26日(日)
東京 下北沢THREEOPEN 18:30 START 19:00
ゲスト後日発表

2020年1月31日(金)
大阪 心斎橋Live House PangeaOPEN 18:30 START 19:00
ゲスト後日発表

https://ohnodarkness.tumblr.com/
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