ローリングストーン誌は「史上最高のメタル・アルバム100」の編纂を始めてすぐ、ある一つの傾向に気がついた。
彼の大音声は半世紀にも渡って、トニー・アイオミ、ランディ・ローズ、ザック・ワイルドが弾くギターの音とともに威勢よく突き刺さってきた。ステージ上でも私生活でも不屈のフロントマンであり、異様な仕草は数え切れないほどのレジェンドに影響を与えている。自身をヘヴィメタルのアーティストとして扱われるのはよしとしないが(「その用語は嫌いだ」と、彼は以前ローリングストーンに語っている。「ポイズンとブラック・サバスを一緒くたにしてるが、この二つはクソ違うからな」)、同ジャンルの熱心なサポーターとしての顔も持つ。メタリカ、モーターヘッド、モトリー・クルーを初の大型ツアーに連れているほか、Ozzfestをたびたび開催し、スリップノットやトゥール、パンテラ、スレイヤーほか無数のバンドを出演させてきた。
ローリングストーンは「史上最高のメタル・アルバム100」制作の早い段階で、メタルの先祖であるだけでなく、最大の支援者の一人でもあるオズボーンのお気に入りを教えてもらうべく本人にアプローチ。彼はフェイバリット・アルバム10選のリストに、なぜそれらの作品が自分とメタルにとっての礎となったのか簡潔な文章を添えて、Eメールで送付してくれた。
AC/DC『地獄のハイウェイ』(1979年)
ブライアン・ジョンソンは大好きだけど、俺にとっては親愛なる友人、故ボン・スコットこそAC/DCのベストシンガーだ。このアルバムはすっかりハマっちまったものだよ。
アリス・イン・チェインズ『フェイスリフト』(1990年)
もう一つの衝撃デビュー。「Man in the Box」は名曲だね。レイン・ステイリーはいい男だった。彼が自分のなかの悪魔を克服できなかったのは残念だな。
ガンズ・アンド・ローゼズ『アペタイト・フォー・ディストラクション』(1987年)
史上最高のデビュー作の一つ。このなかに退屈な曲は一つも入ってない。聴きながらくたびれたことは一度もないね。
ジューダス・プリースト『ブリティッシュ・スティール』(1980年)
俺に言えるのは、ジューダス・プリーストの連中は同じバーミンガム出身の仲間というだけでなく、メタルの歴史を通じて最高のバンドの一つであるってこと。このアルバムには「Living After Midnight」「Breaking the Law」と「Metal Gods」が入っている。『ブリティッシュ・スティール』は不朽の名作だよ。
レッド・ツェッペリン『レッド・ツェッペリンIV』(1971年)
俺はいつだってレッド・ツェッペリンの大ファンだ。スタジオ作の全てが名盤だけど、このアルバムが俺のオールタイム・フェイバリットだね。
メガデス『ラスト・イン・ピース』(1990年)
俺はこのアルバムを聴くまで、メガデスがいかに素晴らしいバンドなのか気づかなかった。
メタリカ『メタル・マスター』(1986年)
『メタル・マスター』のリリース後、俺はメタリカと一緒にツアーを廻ったんだ。このアルバムは、彼らとヘヴィメタルにとってのマイルストーンだよ。
モーターヘッド『エース・オブ・スペーズ』(1980年)
このアルバムがモーターヘッドを頂点にまで押し上げた。タイトル曲「エース・オブ・スペーズ」はモーターヘッド版の「パラノイド」だ。最も偉大なメタル・アンセムの一つだし、俺にとっては、彼らが作り上げた初めてのアンセムでもある。この曲は彼らのものだよ。
パンテラ『カウボーイズ・フロム・ヘル』(1990年)
俺が一緒にツアーしてきた連中のなかでも、パンテラは最大のパーティ・アニマルの一つ。このアルバムでは、ダイムバッグ・ダレルのギターが輝きを放っている。あらゆるメタルファンがコレクションに加えておくべき一作だ。
ロブ・ゾンビ『ヘルビリー・デラックス』(1998年)
俺はロブ・ゾンビとも一緒にたくさんツアーしてきた。あいつはあらゆる面で真のアーティストだ。
【レジェンドが選ぶ「史上最高のメタル・アルバム」】
①オジー・オズボーンが選ぶ、究極のメタル/ハードロック・アルバム10作
②ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードが選ぶ、至高のメタル・アルバム10作
③メタリカのラーズ・ウルリッヒが選ぶ、最強のメタル/ハードロック・アルバム15作
④スレイヤーのケリー・キングが選ぶ、不滅のメタル・アルバム10作