若い頃にマジックペンの匂いを嗅いでスリルを求めた人もいるはずだ。
最近、BBCのコメディトーク番組「ジョナサン・ロス・ショー」に出演したポップは、ロスに「コンセントに舌を押し込んでビリビリさせようとしたんですってね」と言われて、「いや、あれは電車用の送電機だった」とロスの情報を訂正した。この日の元ストゥージズのフロントマンは、ピンクのスーツとメッシュシャツでファッショナブルに(派手に?)きめて、微笑み、笑い声を上げた。
そして「蜘蛛の巣を吸ったこともあるよ」と、事もなげに不意打ちを食らわせたのである。
「蜘蛛の巣を食べたんですか?」と、ロスは聞き返した。
「いいや、火を点けて吸おうとした。でも、ほら、千里の道も一歩からって言うだろ」とポップ。
無害のクモがせっせと糸を出して作った家をどうやって吸ったのか、ポップはその詳細を語らなかった。しかし、巻紙いっぱいにしてジョイントを作れる量の蜘蛛の巣を集めるのは簡単ではないし、ジョイントが燃える間、熱くなめらかな煙を鼻から吸うことがそれほど魅力的には思えない。ポップは蜘蛛の巣の感想を「あれはキツかった」と述べた。
60年代から70年代にかけて大々的にドラックを摂取していたことで有名だったがポップが、このインタビューの冒頭で、今現在まだ生きていることはべつに驚きではないと語った。
「人ってやつは永遠に生きると思っているんだよ。だから、驚かないね。これは瀬戸際政策能力さ。70年代に俺が通っていた精神分析医に『君には素晴らしい瀬戸際政策能力があるね。君はどこかに行っても、どの時点で引き戻るべきかをよく知っている』と言われた。俺は常に引き戻る点をわきまえていた。普段の暮らしではかなり保守的なんだ」と、ポップがロスに説明した。
さらにデヴィッド・ボウイとの友情についても言及し、二人の間にライバル意識があったに違いないという憶測を見事に論破した。興味深かったのは、このインタビュー中に、ロスが今年リリースされたポップの新作『Free(原題)』の話題を一度も出さなかったことだ。このアルバムには驚くほど落ち着いたポップのクールなサウンドが詰まっているというのに。