最初は友達のパーティーや、よく行くバーなどで機材をなんとなく触らせてもらっているだけだった。曲をフェードイン、フェードアウトするだけの簡単な機能しか分からず、ただ自分の好きな曲を流して楽しんでいるだけだったのだが、いろいろな機能が付いた機材にずっと興味があった。
クラブに初めて足を踏み入れた時、眩しい照明の光と爆音が鳴り響く中、DJがカッコよくパフォーマンスをして会場を盛り上げているのを見て圧倒された。
はじめてUltra Japanに行った時も世界的に有名なDJがパフォーマンスをして、たくさんの人が歌ったり手を上げて踊ったりしているのを見て感動した。知らない曲でもキックのリズムで身体を動かし、その場にいる人たちを心地よくノセられるDJの技術は本当に凄いと思った。
クラブはパリピの行く場所、ナンパのイメージが強くて苦手意識があったが、いざ足を踏み入れてみると、音楽好きが多く、特にDJの人たちはルーツや曲をとにかくたくさん知っていてカッコいいと思った。私も音楽についてより深く知り、感動を共有したいと思い、DJをやることを決意した。
私は表現者になりたい。自分自身の映像であったり、美しさや艶やかさを魅せるのは表面的な表現ではあるが、音楽は偶像的なイメージを作り出すのでもっと勉強して人に共感されるような音を表現したい。 作曲をしている世界的に有名なDJの曲たちはたくさんの人たちに影響を与えている。自分は今、トラックメイキングはLogicを使っているが、自分自身の表現したものを音に変えて同じように伝えていきたいと思った。
私がDJレッスンで学んだことは簡単に言うとこんな感じだ。
機材のツマミの細かい使い方、BPMを合わせること、曲の繋ぎのタイミング、クラブで前の人がどんな曲をかけているかを観察し、クラブの雰囲気や時間帯に合った曲をかけること。その場にいる人をよく見ること。一日を通してイベントを盛り上げて成功させること……。
ストリートで生きているDJの人たちを目の前で見てきて、彼らがたくさん努力をして練習しているのを知り、尊敬した。「曲を流すだけ」ではない。様々な技術や知識、経験があるDJのパフォーマンスはその場、その場で変わり、演奏をする、生き物であり同じ状況は二度と無い。
レッスンで学んだのは、機材の使い方だけではなく魅せるパフォーマンスをすること。一瞬一瞬を大切にし、曲を繋げるだけではくDJで生きていくために次に「繋げる」努力を一生懸命することだ。
ハロウィンイベントでDJした感想
台湾・台北にあるWAVE CLUB。去年はシャンパンガールとして訪れ、ステージの上から客席にいる人たちにシャンパンを注ぐ仕事をした。その日も最高潮に盛り上がっていてとても楽しかった。このステージでDJをしたら楽しそうだな、とぼんやり思っていたのだが、まさかその一年後リニューアルオープンしたWAVE CLUBのハロウィンイベントでDJをするとは思ってもみなかった。
本番当日まで仕事が忙しくなかなか時間が取れずすごく焦っていた。移動中などSerato DJ のCUEポイントをひたすら付ける作業をした。準備には時間がかかるが、準備をたくさんした方が心の余裕ができると思った。
時間は深夜のメイン帯。クラブに人が一番多く集まって盛り上がる時間に出させてもらった。キャパが広い上に大勢のお客さん。足が震えて緊張した。事前にDJの先生にアドバイスを聞いて、「とにかく楽しむことが大事。自分に余裕がないのが伝わるとみんなに伝わるから」と言われ、とにかくジャンプしたり手をあげたりして、自分でも曲を楽しんだ。MCの人も煽りで盛り上げてくれて、すごく楽しい時間だった。
私が好きなクラブ系アーティスト
ZEED
ハードでインパクトのある音色。重いベースラインに加え、メロディアスでキャッチーなヴォーカルが心に刺さりました。
Hardwell
中毒性があり、一度聴いたら離れないメロディラインが特徴的。全てのアルバムを何回も聴きました。重低音と派手なシンセサイザー。ダンス・ミュージックにおける天才的なクリエイティブさを感じました。いつかフェスで生のHardwellを見れることを期待しています。

DJブースに立つ高橋しょう子(写真:本人提供)