LOW IQ 01のインタビュー連載企画「イッチャンの青春時代」。1984年を振り返った前回に続き、第3回は「1985年編」。
イッチャンがミュージシャンになるきっかけになった1985年とは? 当時の世相とともに語り尽くします。

ー第3回ということで1985年の回になります。この年に起きたことや流行った物を項目にしてお持ちしていて、この年には市川少年は中学3年生になるわけですが、何か覚えていることはありますか?

この年に中3になって、人生初の受験ってやつをしました。あと初めての骨折をした(笑)。体育の授業中にソフトボールをやっていて、その時にポッキリ。脚って2本骨があるんですけど、両方とも折れちゃって痛かったなあ…。僕は普段成績がオール1だったのに、骨折で頑張り見せちゃったから体育だけ2になっちゃって。オール1が欲しかったのに余計なことすんなって(笑)。

ー受験の年だったわけですが、音楽に対してはどういう思いで臨まれていました?

気持ちがちょっと大人になったというか。中2は一番楽しかったし何も考えなくて良かったんだけど、中3は学年が一番上だしね。当時のバンドメンバーと出会ったのは中学の時で、初ライブももしかしたら1985年だったかもしれない。初ライブは目黒の住区センターっていう施設みたいな場所を借りてやりました。
自分たちでお金集めて機材とかも準備してさ。

ー当時からオリジナルの曲をやっていたんですか?

いやいや、コピーだったよ。ピストルズとか当時流行った音楽をやっていて。パートはギターだったな。学校の行事とは違う、自分の好きなことで私服着て後輩集めて、チケットも500円とかで売ったり。それが初ライブだったかな。他には、NHKで『インディーズの逆襲』っていう、LAUGHIN NOSEとかThe Willardとか、ばちかぶりとか日本のインディーズを取り上げる番組があって、それの衝撃もデカかったかな。それでこう、日本のバンドのレコードを買いに行くわけよ。三軒茶屋のFUJIYAMAっていうレコード屋に行ったり、目白のおばちゃんがやっているインディーズを扱うレコード屋に行ったりとか。中2に比べると音楽活動がワンランク現実になっていくというか、ここから行動に移し始めるところだったかも。

ー日本のパンクやロックシーンのレコードを買うようになって1985年にハマった音楽って何ですか?

うち兄貴がいるから、ほとんどレコードあったのよ。でもLAUGHIN NOSEだったら、『PUSSY FOR SALE』っていうメジャーの前のやつかな、当時でもうプレミアついちゃってたからさ。
THE STALINの『trash』とかも高かったしね。で、この当時からライブハウスにも行くようになるしね。渋谷のライブハウスによく行ってたなあ、La.mama、屋根裏とか目黒の鹿鳴館に先輩のライブよく観に行ってた。あとツバキハウスに外国のバンドがよく来ていた年でもあるんだよ。トイドールズ、GBH、カオスUKとかサイキックTVとかはツバキハウスのイメージがある。トイドールズは見に行ったなあ。

ー1985年の出来事についてなんですが、ファミコンの『スーパーマリオ』も発売されていましたね。

もうファミコン史上一番の出来じゃないかと。もう40年近く経ってるけどさ、今でも人気あるし世界でも認知されているよね。『マリオブラザーズ』って1983年頃からゲームセンターでもあったけど、スーパーマリオシリーズっていうのは不朽の名作だよね。1983年はセガを買った年だけど、1985年の『スーパーマリオ』が出たタイミングでとうとう我慢できず、ここでファミコンを購入したんですよ。

ーセガからファミコンへ乗り移ったと。


セガを持ってるやつはもう周りに誰もいなかった(笑)。あともう一つ覚えてるのが、ゲームセンターのシューティングゲームの『ギャラガ』と『魔界村』すごく上手かった。1日中いれたもん。中目黒か祐天寺のゲームセンター。1985年の夏の暑い日にギンギンに冷えたゲームセンターでずっとゲームするのがすげえ好きだったなあ。

ー1985年全体での印象ってあります?

1985年って昭和の最後の方じゃないですか。1984年にオリンピックも終わって一段落で、ここから時代が変わっていくようになった感じがする。昭和50年代はTHE・昭和って感じだったけど、昭和60年代からいろいろ近代的になってきたっていうか。駅のイメージも変わったじゃん、切符売りとか減ってきたしさ。あと1985年って俺の中でアイドル絶頂期なわけよ。夕ニャン(夕やけニャンニャン)でしょ、チェッカーズ、キョンキョン、中森明菜、松田聖子の次の世代が出てきていて。1985年ってここがドンピシャでアイドルが一番良かったんじゃないかな。
おニャン子は富川春美ちゃん好きだったなあ。おニャン子も一番いい時期じゃない? 光GENJIもまだ出て来てないんだね。1985年のつくば万博もすごい覚えてるんだけど、夕方に生中継してたわけよ。今で言うアンバサダーみたいなのがあって、それで夢工場っていう男性グループが出てたのよ。1985年ってさ、男のフラッパーっていうのかな。パーマかけてフワフワさせて、横は刈り上げて2ブロックにしてフワーッとパーマかけるのが流行っていた。それで、この時の夢工場はすごく印象に残っている。おれもこの時は2ブロックでしたね。

ーファッションはどうでしょう?

さっきも話したフラッパーと、あと俺はヘアバンドもよくしてた。それこそフラッパーの頭に太めのヘアバンド付けてみたりとか、学校行く時もいつもヘアバンドしてたもん。あとはDCブランドとかもちょっと着てたね。やっぱね、パンクも聴いていたんだけどニューウェーブの流れもリアルタイムで来ていた時だったから。


ー当時のご自身のファッションとしてはパンク系ですか? パンクスがDr. MartensでスキンズがHAWKINSでしたよね。

中学生にDr. Martensは買えないから安全靴を履いてた。つま先に鉄が入ってるやつ。今でも忘れられない、中目黒の目黒銀山の商店街の安全靴を売っている靴屋で買ったなあ。

ー流行語では「金妻」、「うざったい」、「ダッチロール」、「やらせ」、「FOCUSされる」、「新人類」などあるんですけど。

やっぱ「新人類」かな。あとやっぱドラマの金妻でしょう、『金曜日の妻たちへ』。

ー中学生の市川少年は金妻を観ていたんですか?

俺ね、これ観てなかったのよ。22時くらいから放送していたなあ。主題歌がいいんだよね、小林明子さんの「恋に落ちて -Fall in love-」。あの歌がすごぐ良くて。『毎度おさわがせします』はまだ違うんだっけ?

ー『毎度おさわがせします』はもう少しあとなんですよね。


1年間で2シリーズやったのかな? 第1話のタイトルが「こんにちはポコチン」だった気がするんだよね(笑)。すごく覚えてる。俺はこれがドンピシャ。木村一八も中山美穂もたしか年齢が俺の一個上くらいなんだよ。

ー僕は中学校に入る前だったんで観させてもらえなかったんですよ。 一番印象に残っているシーンはどこですか?

一般的にはチロリーンでしょ(笑)? 他には、お約束的に最後なぜかダンプ松本とブル中野が暴れて終わるっていうのと無意味なエアロビクス。あれもなんかエアロビとか言いながら誰か不倫してたんじゃなかったっけ。結局この時代から不倫ドラマがあったんだよね。『うちの子にかぎって…』とかもサイコーだね。

ー田村正和さんですね。

1985年は第2期なんだね、子役は『毎度おさわがせします』に出てるたまきって弟役じゃない? 2番組とも出てた気がするんだよね。あと『うちの子にかぎって…』の番長みたいなでかいメガネかけた男の子と転校生の回は、すげえ覚えてるなあ。第1シリーズも第2シリーズもチェッカーズが主題歌なんだけど、割と暗いんだよね。挿入歌の方が明るい。森下愛子さんもすげえ綺麗、田村正和の奥さん役でね。でも、やっぱり金妻かなあ。坂東英二がこのドラマで役者の才能を開花させたんだよね、それで『毎度おさわがせします』も坂東英二がお父さん役で出てた。さっき話したみたいに昭和50年代が終わって、変な話、戦後っていう時代が終わったというか、もう昔の話だったんだなっていう意識が出てきたのもこの時代じゃない? 日本もいろいろ便利になってきてお金もあってさ、いわゆるバブルが始まってきた感じだと思うな。

ー中学生の時を思い返して、あれはバブルだったんじゃないかなって思う出来事ありますか?

実は全然恩恵を受けてないのよ。中学生だとやっぱり大人のいる場所でも遊ばなかったし、20歳くらいでやっと感じたかもね。ここら辺から大学生のアルバイトでも羽振りが良くなってくるのかもしれないけど、中学生はアルバイトしてなかったしね。正直90年頃までバブルっていうのも感じたことないんじゃないかなあ。

ー僕はLOW IQ 01さんより年が4つ下なんですけど、1990~92年くらいにジュリアナ東京とか流行っていて。

その時が多分一番お金あったと思う。たぶんね、80年代とかだと企業がお金を持ち始めて、まだ一般にまでお金は回ってなかったんじゃないかな。一般にまでお金が回ったのは90年代初頭のバブルが弾ける直前だったような気もする。一番派手だったし。だから1985年はその幕開けですよね、きっと。

ーヒット曲だとチェッカーズ、中森明菜、小林明子、C-C-B、安全地帯とかが年間トップ10に入っていますね。チェッカーズってバンド編成で、歌番組とかチャートにアイドルみたいな感じで出てくるのがすごく新しいなと思いました。LOW IQ 01さんはチェッカーズの思い出とかあります?

うーん、チェッカーズのおかげでヤンキーとかいなくなったんじゃないかなとは思うんだよね。彼らも元々ヤンキーだったと思うけど、でもやっぱり世の中のそれまでパンチパーマだった人たちが、髪を立てるようになったのは彼らの功績だと思う。それこそちょうど1984年とかにMTVとかで海外のバンドを目の当たりにするようになって取り入れるようになって、横浜銀蝿よりもチェッカーズの時代が来たっていう感じだから。

ーチェッカーズが出てきた頃って僕の中では音楽とファッションが結びついていなかったんですけど、音楽もかっこいいし、衣装とかシンクロする一番メジャーなものの最初だったのかなって思うんです。

曲も歌謡曲からちょっと洋楽っぽいテイストも増えてきたのかなって思うけどね。

ーたぶんこのヒットチャートの裏側には作家さんがいて、海外の音楽が歌謡曲のフレーバーとして入ってきたっていうことだと思うんですよね。

都市伝説かもしれないけど、C-C-Bのドラムの人がThe Willardにいたって聞いたことある気がするんだよね。C-C-Bは髪の色とエレドラが凄かったよね、どちらかというと曲はファンクっぽかったし。カッティングとかリズムとかさ。

ー映画の方はどうですか?

『ゴーストバスターズ』とかはもちろんだけどさ、レイ・パーカー・ジュニアだよね。主題歌もヒット曲だったし。今聴いてもアレンジめちゃかっこいいよね、ちょっとオールドスクールな感じがしていいよね。HIPHOPのフレーズにいっぱい使われていますもんね。1985年ってそういう黒人音楽とか、古いファンクみたいなのがディスコソングみたいなのも入っていて、シンセサイザーものにHIPHOPの要素みたいなのもあると思いますね、サウンドの感じも。

ーこの曲とRun-D.M.C.の音の使い方とかも似ていると思います。たぶんMTVが席巻し始めて、マイケル・ジャクソンもヒットした時にこう変わっていったんでしょうね。あとLOW IQ 01さんと言えば、『スパルタンX』じゃないですか?

そうなんですよ、これでジャッキー・チェンの映画を卒業しました。『五福星』は観たんですけど、あれは厳密にはジャッキー映画じゃなくて、サモ・ハン・キンポーの映画だから。なので、『スパルタンX』でもう一時代が終わったなって。『スパルタンX』って色々な要素入っているんだよね、海外に行って香港映画とかカーアクションの要素もあって、今のジャッキー・チェンの映画のも原点っぽいかなって。

ー『ランボー』はどうですか?

シルベスタ・スタローンの別世界だよね。今まではエイドリアーンって言ってたのにだけだったのに『ランボー』でまた新しい扉を開いたよね。これもアクションすごくて、傷口を本当に縫ったりとかさ。体の作りが変わってきちゃったんだよね。『007』も映画館に観に行ったね、ロジャー・ムーアの方。『マッドマックス』もね、サンダーストームは3作目なんだよね。ティナ・ターナが出てくるのよ。

ーここまで改めて振り返って、LOW IQ 01さんの1985年ってどんな年でした?

なんだろうなあ。中2の時は「一番の思春期、匂いまで覚えてる1984年」だったけど、14歳は思春期で、15歳は思春期の中でもうちょっと大人になるっていう意味で1985年は「ちょっとだけ大人の第一歩」って感じかな。

<ライブ情報>

LOW IQ 01の青春時代「ちょっとだけ大人に近づいた1985年」


LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS
(B.Vocal:LOW IQ 01 G.Cho:フルカワユタカ Dr.Cho:山﨑聖之)

=ツアー日程=
2020年4月19日(日)西川口:Live House Hearts SOLDOUT
2020年5月9日(土)福島:Outline
2020年5月10日(日)仙台:MACANA
2020年5月16日(土)千葉:LOOK
2020年5月23日(土)岡山:CRAZY MAMA 2nd Room
2020年5月24日(日)福岡:Qublick
2020年5月31日(日)水戸:LIGHT HOUSE
2020年6月7日(日)静岡:UMBER

チケット料金:前売3500円(税込み)D代別・オールスタンディング

LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS +
(B.Vocal:LOW IQ 01 G.Cho:渡邊忍(ASPARAGUS) G.Cho:フルカワユタカ Dr.Cho:山﨑聖之)

=ツアー日程=
2020年5月30日(土)名古屋:BOTTOM LINE
2020年6月6日(土)心斎橋:Music Club JANUS
2020年6月14日(日)渋谷:WWW-X

チケット料金:前売4000円(税込み)D代別・オールスタンディング

LOW IQ 01公式サイトイベント情報:http://www.lowiq01.jp/live
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