相関関係と因果関係とは「別物」であることを、まず押さえておこう(数学の先生に聞いてみるといい。
2021年5月21日、BTSがシングル曲「Butter」をリリースした。一度聴いたら忘れられないメロディーの楽曲は、たちまち各音楽チャートを席巻した。同曲は、ローリングストーン誌によるトップ100ソングのチャートで第2位に入り(第1位はオリヴィア・ロドリゴの「Drivers License」だった)、セールスではトップに立った。全米バター協会と全国乳製品連盟の広報責任者を務めるアラン・ビエルガによると、5月21日のリリース日の翌週、全米のバターの売上高が、2019年の同週よりも30%上昇したという。ビエルガは、調査企業IRIの調べによるバターとバター関連製品の売上に関するデータベースの数字を根拠に主張している。2019年を比較対象としたのは、2020年は新型コロナウイルスの影響で、通常とは異なる異常な数値を示していたことによる。2020年の春から夏にかけて、新型コロナウイルスが急速に感染拡大したため、食料品や関連製品の買い占めが起きた。欧米のキッチンに欠かせないバターもまた、ロックダウン中のパンや菓子作りブームに必須の食材のひとつとして、買い占めの対象となった。バターは、家族や恋人などへの愛情表現(菓子作り)に欠かせない食材なのだ。
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2021年5月下旬に米国でバター製品の売れ行きが上昇したのは、本当に楽曲「Butter」がきっかけになっているのだろうか。
シングル曲のリリース日とバターの売上高との関係性を追うことはできるが、バターの売上増加の原因をシングル曲「Butter」に結びつける明確な理由は見当たらない。しかし複数の研究によると、消費者がスーパーマーケットを選ぶ基準はさまざまな条件に影響されやすく、さらに消費する金額は、店内に流れる音楽に影響を受けやすいという。自らを「バックグラウンドミュージック版Spotify」と称し、多国籍レストランのリサーチも実施するSoundtrack Your Brandは、店内に流れる音楽のジャンルやテンポが消費者の選ぶ食事の種類に影響すると主張している。
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2021年7月2日時点で「Butter」は、ローリングストーン誌のトップ100ソングにおいて7週連続で第2位をキープしている。また現時点でのオンデマンドストリーミング回数は、約8600万回に達している。BTSの直近のメジャーヒット作は、2020年8月の「Dynamite」だった。ただ、曲のおかげでダイナマイトの売れ行きが伸びたなどという分析結果は、これまで聞いたことがない。
From Rolling Stone US.