第64回グラミー賞で、最優秀新人賞を含む3部門を受賞したオリヴィア・ロドリゴ。昨年最大の新人アーティストが初のツアー、次回作と新曲のレコーディングについて語る。


オリヴィアは最優秀新人賞、最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞、最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞を受賞。「私の音楽を聴いてくれるファンの皆さんありがとうございます、皆さんがこの2年間の私の人生を変えてくれました。そして私の両親にこの賞を捧げたいです。9才の頃にオリンピックの体操選手になりたいと言った翌週にグラミー賞をとりたいと言い出したのですが、あり得ないような私の夢を両親はサポートし続けてくれました」と受賞の喜びと感謝を語った。

オリヴィア・ロドリゴにとって、この1年は成功以外の何物でもなかった。デビューシングル「drivers license」のスマッシュヒットで幕を開け、ポップミュージック界最大の新人アーティストになったのは言わずもがな、もっとも興味深く、もっとも刺激的な存在となった。
昨年5月にリリースされたアルバム『SOUR』は「drivers license」の感性をベースにしつつ、ヒットシングル「good 4 u」やオープニングトラック「brutal」に見られるような、パンクでエネルギッシュな要素も盛り込まれている。アルバムはチャート1位を獲得してプラチナムディスクに認定され、19歳のアーティストはグラミー賞7部門にノミネートされた。

唯一の問題は、パンデミックのせいでファンの前でライブパフォーマンスをする機会がほとんどなかったという点だ。だがついに、彼女は2つの方法でこの問題を克服した。この4月から初のツアー『SOUR』第1弾がいよいよスタート。それに先立ち、3月25日にはディズニープラスと組んだドキュメンタリー作品『オリヴィア・ロドリゴ:ドライビング・ホーム・2・ユー』がストリーミング配信される。
番組はソルトレイクシティからロサンゼルスへ向かうロードトリップという形をとって、『SOUR』収録曲をライブ演奏しながら、曲についての密着インタビューや、プロデューサーのダン・ネグロとのレコーディング舞台裏映像が紹介される。

「1年間、ソルトレイクシティでテレビの撮影をした」と本人。ここでいう撮影とは、ディズニーのTVドラマ『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』のことだ。「その時に曲を書き始めて、最終的にはロサンゼルスで(アルバムの)作曲とプロデュースをしたわ」 昨年末、彼女はモハヴェ飛行機廃棄場やレッドロック・キャニオン州立公園に立ち寄りながら、その時の旅を再現した。「絶景満載のドライブを楽しめるはずよ」

ある意味、ネグロとの『SOUR』収録風景の映像を振り返ること自体が旅だった。2人は「drivers license」がリリースされると、すぐにロサンゼルスのスタジオにGoProカメラを設置し、アルバムの収録作業に取り掛かった。
現在も最後の仕上げの真っ最中で、2人が様々なアレンジや歌詞を試したり、曲の順番を変えたりしながら追い込みにかかる様子がカメラに収められている。

「アルバムとして出すのとシングルとして出すのとでは意味合いが全く違ってくる。それが音楽のいいところだと思う」と彼女は説明する。「曲が形になる瞬間をあらためて映像で見るのは面白かった。あの制作行程はまるで魔法のようよ。人生でも本当にいい思い出だわ」

本編に登場するライブパフォーマンスの多くは、ロドリゴ本人が結成した女性バンドで演奏されるのでなおさら特別感が増す。
バンドとの演奏はよりロック寄りにアレンジされていて、「brutal」「jealousy, jealousy」といったグランジ系の楽曲がさらに際立っている。メンバーの大半は配信の数日後にスタートするツアーにも参加する予定だ。「ロック界の女性の活躍を見るのはすごくクールよね。まだまだメディアでは十分取り上げられていないような気がする」と、彼女は付け加えた。

初のツアーと今後の展望

今度のツアーはロドリゴにとって自身初のツアーとなる。アラニス・モリセットと並んでローリングストーン誌の表紙を飾った際、彼女は音楽界の重鎮にツアーがどんなのものか尋ねていた。
それをついに実現しようという今、ロドリゴはやや緊張しつつも、期待に胸を膨らませている。「私にとっては、今まで味わったことがない全く新しい体験。きっと楽しくなるでしょうね」と本人。「コロナの隔離中に作品を出したから、演奏した機会はごくごくわずかなの。実際にファンのみんなに会えるのが楽しみ。ソーシャルメディアやテクノロジーではカバーできない、特別なところがあるでしょ」

ファンにどんなツアー体験を提供しようかと考えた時、彼女の頭に浮かんだのがロードの『Melodrama』ツアーだった。
「あの当時私は14歳だった。圧倒的で、アーティスティックだった」と彼女は振り返る。「ステープルズセンターを出て、『ああいうショウをやりたい、違う世界に連れて行ってくれるようなアートなものをやりたい』って思ったのを覚えてる。それが私の絶対的基準になったの」

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ロドリゴにとって、『ドライビング・ホーム・2・ユー』は差し迫る『SOUR』時代の幕引きに2つの大事な要素をもたらした。第一に、ツアーに行けないファンや友人にツアーで曲がどんなふうに演奏されるのか触りだけでも感じてもらうことができる。またデビューアルバムのウィニングラン的な要素もある。エンドクレジットには、お蔵入りとなったタイトルすらない未完成のiPhoneで作ったデモが1曲追加されていた。「いくつか改めてデモを聴いてみて、これを聴いた時に『あれ、なかなかいいじゃん!』と思って。みんなに『SOUR』のちょっとした特典をプレゼントしたかったの」

次の展開として、すでにスタジオで2作目のアルバム制作に取り掛かり、ツアー前にできるだけ作業を終わらせようと頑張っている。「私にとってはひとつの区切りみたいな感じ」と本人は続けた。「新しい作品を出して、次の世界観を作り上げるのがものすごく楽しみ」

From Rolling Stone US.

オリヴィア・ロドリゴが語るデビューアルバム制作過程、次回作と今後の展望

オリヴィア・ロドリゴ
『SOUR』
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