5人組ロックバンド、ASH DA HEROが、8月31日にリリースしたメジャー1st Full Album『Genesis』を引っ提げて全国9都市を回るバンド初のツアーを開催、10月29日(土)にファイナル公演をZepp DiverCity(TOKYO)にて開催した。そのオフィシャルレポートを掲載する。


約6年間、ロック・シンガーとして活動してきたASH DA HEROが、2021年9月、ソロ活動を完結させ、バンド”ASH DA HERO”を始動させた。メンバーに選ばれたのは、Narukaze(Gt)、Sato(Ba)、WANI(Dr)、Dhalsim(DJ)。その後、3デイズ・ワンマンや3カ月連続の主催イベント<GACHINKO>、様々なフェス出演を重ねながらバンドとしての経験値も高めていったASH DA HEROは、2022年8月にMajor 1st Full Album『Genesis』を発表。それを携えたツアー<ASH DA HERO LIVE TOUR 2022”Genesis”>を9月からスタートさせた。全国9箇所に及ぶそのツアーのファイナルが、10月29日(土)=Zepp DiverCity(TOKYO)である。

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暗転直後、会場に響き始めたのはアルバムのオープニング・ナンバーでもあるSE「Genesis」。フロアを埋め尽くしたベイビーズ(ASH DA HEROファンの総称)らの興奮と緊張感が高まる中、ステージを覆う幕にシルエット状にメンバーの姿も浮かび上がった。

ASH DA HERO、ツアーファイナル東京Zepp DiverCityで奏でた希望の歌

ASH DA HERO(Photo by 堅田ひとみ)

直後、それまで流れていたSE「Genesis」は、メンバーの生演奏による「Genesis」に切り替わり、ASH DA HEROらしいハイブリッドなサウンドが放たれていく。メンバーの生の姿はまだ見えないものの、生のバンド・サウンドを浴びて、すでに感情を抑えきれないベイビーズの姿がフロアに広がるばかり。そして突入したのは「New Revolution」。イントロでASH(Vo)のロング・シャウトを合図に幕は切って落とされ、ついにASH DA HEROの5人が目の前に。歓喜のコブシや腕が一気に突き上がる壮観な景色の中でASH DA HEROが轟かせるのは、ヒップホップもラウドもアリーナ級スケールのロックも飲み込んだもの。
歌詞には、曲名どおり、新たな革命を起こすべくバンドを組んだときの思いが、ストレートに描かれている。力強いバンド・サウンドと共に”俺らの出番だろ!”と叫ぶASHの姿が実に頼もしい。またASHのシャウトに絡むようにエモーショナルなギター・ソロを決めるNarukazeは、ギター・ヒーローのオーラをギラギラに放つ。

そんな宣戦布告のナンバーから曲が「DAIDARA」へと続く中で、メンバー全員が激しいライブ・パフォームを繰り出しながら、気合いの入った音を炸裂させる。見た目でも音でもベイビーズを煽りたて、最高の加速度で熱気は高まっていった。そこからロカビリー・テイストある「Avengers」や、バンド始動後に初めて作ったナンバーでもある「Merry Go Round」など、アルバム『Genesis』を軸にしながらライブは展開していく。

もともとソロ時代から音楽的に幅広いものを具現化していたASHを筆頭に、いろいろな音楽的バックボーンを持つメンバー。それに様々なアーティストのサポートやレコーディングでも手腕を発揮してきたメンバーも多い。2021年に始まったばかりのASH DA HEROであるが、新人らしからぬキャリアを持つツワモノが揃っているバンドと言える。プロフェッショナルゆえ、当たり前に演奏はうまいし、出す音そのものがいいところも、さすが実力派のメンバーたち。

ASH DA HERO、ツアーファイナル東京Zepp DiverCityで奏でた希望の歌

ASH DA HERO(Photo by 堅田ひとみ)

だが、サポート経験が長くなると、主役を盛り立てる影武者的な考え方が強くなり、ついついバンドマンという本来の姿を忘れてしまうことも。ASH DA HEROが本物のバンドになるにあたり、まず必要だったのはメンバー一人ひとりの自分革命だったように思う。
バンドとしての初アルバム『Genesis』のレコーディング、バンドとしての初ツアー<ASH DA HERO LIVE TOUR 2022”Genesis”>などを経験していく中で、楽器陣は見事に己の殻を破った。

意識の違いはハッキリと音やプレイに現われていた。それぞれが遠慮することなく音やプレイ刺激し合い、ライブ・パフォームも全員が大胆不敵にして気迫にも満ち溢れる。だから各楽曲はアルバムやシングルというフォーマットからいい意味ではみ出しながら、ライブならではの激しい呼吸を繰り返し、新たな醍醐味も作り出す。大歓迎の変貌ぶりだ。多岐にわたる音楽要素を持った楽曲たちは、さらに活き活きとした生命力を放ちながらベイビーズたちも刺激しまくっていく。

ライブ中盤には10月22日(土)の仙台公演から演奏された新曲「自分革命」をプレイ。激しいラップに乗せて、再びバンドのもとに集まったASH DA HEROの5人が、夢に向けて力強く歩み出したその瞬間が描かれている。バンドを組んだごく初期に実は作られた曲でもある。そのときから約1年経ち、夢が少しずつ叶っている現実がここにある。改めてフロアを埋め尽くしたベイビーズを見渡し、メンバーを代表してASHはまず喜びの声をあげた。

「Oh,My God!! すげーいっぱい人がいる。
今日ここZepp DiverCityを選んでくれた一人ひとりにブチ刺すライブをお届けしますんで」━━ASH

また、つい数日前にライブに関するレギュレーションが声出しOKに向けて一歩進んだことを知る音楽ファンも多いだろう。だが、この会場ではまだ声出しは許されていない。ASHは言葉をこう続けた。 

「声出せなくても、アッと声が出ちゃうぐらいのライブやるのがロック・バンドだと思うんで。俺達コロナ禍でエスパーになってるから、オマエらの出したい声、オマエらの心の中の声、全部、聞こえるから」━━ASH

ソロ時代のASH DA HEROの生き方と考え方を投影した「からっぽの街」や「未完成ストーリー」なども中盤では披露。葛藤し、もがいていた日々を映し出した曲でもある。しかし今、バンドのASH DA HEROが鳴らすのは、葛藤した末に切り開いた未来。そんなポジティブなエネルギーがすさまじく宿る楽曲となり、ベイビーズを勇気づけていく。

曲を次々に叩きつけながら、DhalsimのDJソロを合図にライブは後編へ突入。躍動感するグルーヴたっぷりに「エゴイスト」を決めるなか、一度、座らせ「もっともっとブッ飛びたいんだよな。3,2,1!」と一斉にジャンプ。さらにソロ時代からおなじみの「YELLOW FEVER DANCE」をハイテンションにぶちかます。
ベイビーズの興奮ぶりも歯止めが利かなきゃ、ASH DA HEROの5人もエキサイトという形容を通り越した傍若無人ぶり。SatoとNarukazeはお立ち台に乗って、隙あらば自分のプレイで埋め尽くしてやろうって勢いだ。激しいドラム・ソロを決めるのはWANI。Dhalsimだって負けちゃいない。トリッキーなコスり技を炸裂。とにかくメンバー全員が華だ。そしてASHがこう叫んだ。

「俺達が令和最強のロック・バンド、ASH DA HERO。オマエら、最後までついてこい!」

波状攻撃のようなストロングなバンド・サウンドと、一言ずつに気合いも説得力も思いっきりこもったヴォーカルに、圧倒され続けるベイビーズだ。

ASH DA HERO、ツアーファイナル東京Zepp DiverCityで奏でた希望の歌

ASH(Photo by 堅田ひとみ)

「よく頑張ったな。よく生きてたな。あきらめたくなる時代だと思うよ、普通に。
もう無理だよなって思うに決まってんじゃんねぇ。でも言わせてよ。よく頑張ったな。音楽が二の次だってことは分かってる。でも言わせてよ。二の次だけど、思い出してくれよ。音楽やロック・バンドが消えちまった街、なんか違うなーって思ったヤツらがつないでくれた今日なんじゃないかって思ってます。ライブハウスを、ロック・バンドを、音楽というカルチャーを守ってくれたのは、闘ってくれたのは、ここに集まってくれた一人ひとりです。ありがとう。今日は叫べないけど、絶対に叫べる日が来る。夜明けは近いぜ」━━ASH

コロナ禍になっても音楽を守り抜いてきた一人ひとりへの感謝も語りながらライブがエンディングに向かっていったときだった。アルバム『Genesis』と同様の流れを作りながら、「ここがツアー・ファイナルだけど、ここが俺達の始まり。
忘れねえよ」と「Remember」を、ラストは「世界をぶん殴れ」を最高の笑顔と共に全身全霊で叩きつけた。

今回のツアーはこれで終わるはずだった。しかしASH DA HEROの次なる展開が発表された。それが12月4日(日)=渋谷ストリームホールで開催するオフィシャルファンクラブ”Circle A”の会員限定イベント<Circle A presents BABIES NIGHT 2022 -The Unplugged->や、12月17~18日=京都パルスプラザで行なわれるROTTENGRAFFTY主催フェス<ポルノ超特急 2022>への出演(ASH DA HEROの出演日は12月18日(日))などだった。

さらに本当のラスト・ナンバーとして新曲「最強のエンドロール」をASH DA HEROは用意していた。今回のツアー中に作ったという、本当の最新曲だ。「この時代に死ぬ気で太陽のようにギラギラ輝いてやる」という決意も込め、力強く響かせていく。また曲そのものは、孤独も絶望も忘れさせる救いの歌であり、終わることのない希望の歌。「なあ、最強のエンドロールを見に行こうぜ」とベイビーズを大きな愛情で包み込むASH DA HEROツアー・ファイナルのラスト・シーンは、最強にして最幸の景色が広がっていた。

ライブレポート:長谷川幸信

<ライブ情報>

Circle A presents BABIES NIGHT 2022 -The Unplugged-

2022年12月4日(日)渋谷ストリームホール
17:15開場 / 18:00開演
スタンディング 6900円(税込、整理番号付、D代別)
来場者スペシャル特典あり!
※OFFICIAL FANCLUB”Circle A”会員先行受付中!
受付期間:2022年10月29日(土) 21:00~2022年11月7日(月) 23時59分まで
詳細はこちら:https://ashdahero.com/contents/10563

ASH DA HERO Official HP:https://ashdahero.com/
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