今年のフジロックで大きな注目を集め、11月30日に東京・豊洲PITにて単独来日公演を行うキャロライン・ポラチェック(Caroline Polachek)。米ラジオ局NPRの人気シリーズに出演した彼女が、セリーヌ・ディオンからの影響と故ソフィーへの想いについて振り返った。


キャロライン・ポラチェックは、『Desire, I Want to Turn Into You』期を立派に締めくくろうとしている。さる10月10日、彼女はNPRの人気企画「Tiny Desk Concerts」で同作の代表曲を演奏し、アルバムの最終シングル「I Believe」の切ないインスピレーションについて語った。

バンドに支えられたポラチェックは、アカペラのイントロを含む「Pretty in Possible」からパフォーマンスを始めると、バック・シンガーを交えつつ、自身のユニークなボーカルを披露する。アルバムの歌詞を歌いながら、曲のリズムに合わせて腕を動かすアドリブも印象的だ。

そこから「Blood and Butter」「Sunset」の2曲を演奏したあと、今回のパフォーマンス用に「一番改変した」という「I Believe」が披露される。彼女は曲の合間、聖杯を使って何かを口にしていた。


この新たな解釈を施された「I Believe」は、『Desire~』の最終シングルであることが先ごろ発表され、シルバーのドレスと手袋を身につけ、後ろによりかかるポラチェックの写真を用いたゴージャスなカバーアートも新たに公開された。

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「この曲は最新作のシリーズを締めくくるのにふさわしいと感じた、なぜなら『終わりのないこと』についての曲だから」と彼女は語る。「すべての粒子は最終的に配列し直し、あらゆるものを蘇らせるという話を聞いたことがある。しかし、私の直感では、時間とは螺旋のようなものだと思う。過去をやり直そうとして、(螺旋の)ねじれに精通していても、二度と同じ形に戻すことはできない」

「同じことが愛にも言える。最愛の人は変わり続けるし、『hello』は『goodbye』と同義でもある」。
彼女は「アシッドを摂取した状態でイタリアのAirBnbにいたとき、セリーヌ・ディオンの『En Amour』を聴いて、この曲を書くインスピレーションを得た」と綴っている。

「シンセ・コードの波に乗せて、シンプルで鋭く勝ち誇るかのような彼女の歌声を聴き、涙した私はロンドンに戻り、ディーヴァのバラードに挑戦することを決意した」とキャロラインは記したあと、サウンド面の冒険について説明し、さらにこう述べている。

「このようにタッチポイントが乱立しているものの、この曲の中心はソフィーに捧げる歌であり、彼女が体現してきた矛盾は今もなお明るい光を放ち、長い影を落としている。あとは歌詞が物語っているーー”わからないけど、また一緒に過ごせる日が来ると信じている”」。

ポラチェックは今年2月にアルバム『Desire~』をリリースしたあと、アヴァン・ポップ・プロデューサーのソフィーが彼女のキャリアとサウンドに与えた影響について。

「私はディーヴァの本当の意味について、よりスピリチュアルな方法で考え始めた。
そこには重要な点が2つある。ディーヴァは本質的に女性であり、少女ではない。そこにはセクシーな純真さではなく、大人としての威厳ある強さという感覚がある。それらはまったく違う。もうひとつは、ディーヴァは本質的に、破壊すると同時に癒すことができるという矛盾を抱えているということ。それがディーヴァを浮世離れした存在にしている」。


「例えば、彼女に間違った種類のシャンパンを差し出すと、ギグをキャンセルしてしまうだろう。また、彼女はその部屋にいるすべての人を繋ぎ合わせる力を持っている。ディーヴァにはその両方の力を兼ね備えているの」

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From Rolling Stone US.

キャロライン・ポラチェックが振り返る、セリーヌ・ディオンとソフィーから学んだこと

キャロライン・ポラチェック来日公演
2023年11月30(木)東京・豊洲PIT
19:00開演(18:00開場)
公演詳細:https://kyodotokyo.com/pr/carolinepolachek.html