マヨの魅力は、並外れた歌唱力にある。男性とは思えないほどのハイトーンに加え、楽器のように自在なスキャットを駆使し、自ら曲を手がけて歌うこともできる多才さを備えている。2021年の1stアルバム『Bones』では、ハイエイタス・カイヨーテやディアンジェロ、エミリー・キングからの影響を感じさせるネオソウル/R&B寄りのサウンドを展開。一方、2024年の次作『Fly』ではストレートアヘッド寄りのジャズをベースにした音楽性を志向するなど、様々なスタイルをいとも簡単に歌いこなす。
彼はいまや、世界最高峰のボーカリストたちに次々と起用される存在となっている。ジェイコブ・コリアーの『Djesse Vol. 3』、ベッカ・スティーヴンスの『Wonderbloom』、セージュ(Säje)のセルフタイトル作など、グラミー賞にノミネートされた注目作でも彼の歌声は大きな存在感を放っていた。もはや、世界屈指の男性ボーカリストのひとりと言っても過言ではない。
そしてついに、マイケル・マヨが初来日を果たす。5月26日(月)、27日(火)、28日(水)の3日間にわたり東京・丸の内コットンクラブに出演。あの驚異的な歌声をついに生で体験することができるのだ。
両親と学校教育の影響
―10代の頃によく聴いた音楽を教えてください。
マヨ:ジャズを知ったのは14歳のとき。高校に入る前の夏に、父からマイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』を、母方の祖母からはエラ・フィッツジェラルドのコンピレーションをもらったのがきっかけだった。でも並行して、モータウンやダニー・ハサウェイ、ルーサー・ヴァンドロス、ブランディ、ディアンジェロ、アッシャーみたいなR&Bもずっと聴いてたよ。
―そもそもご両親は素晴らしい音楽家なんですよね?
マヨ:僕はミュージシャンとしてだけでなく、人間的にも両親を尊敬している。子どもの頃は、両親が音楽をやっている姿をごく当たり前のことだと思ってたけど、大人になってはじめて、それがどれだけ特別な環境だったかに気づいたんだ。母がバックステージでルーサー・ヴァンドロスと一緒に歌っているのを見たり、父がアース・ウィンド&ファイアーと演奏しているのを見たり。プロとしての姿勢や、時間を守ることの大切さを目の前で学ぶことができたのは、大きなアドバンテージだったと思う。
僕のまわりには仲間や学生、先生も含めて、音楽でキャリアを築けるか懐疑的な人が多かった。それは当然だと思うし、実際に簡単な道じゃない。でも、僕は一度も「無理かもしれない」と思ったことがなかった。
―ロサンゼルス郡立芸術高校(Los Angeles County High School for the Arts)での経験について聞かせてください。
マヨ:LACHSAは、ジェラルド・クレイトンやグレッチェン・パーラト、クリス・バワーズも卒業した学校なんだ。真っ先に思い出すのは、僕が4年間所属していたボーカル・ジャズ・アンサンブルのディレクター、パット・バスのこと。最後の年には、僕自身が学生ディレクターも務めた。
そこで学んだのは、「コードの一部になる」という感覚。複数人でひとつのコードを歌うなかで、自分の”音”をどう見つけたらいいのかをを学んだ。あの経験は、僕の中にいろんな音楽的な”タネ”を植えてくれたと思う。それから、2-5-1進行といったジャズ理論も学んだ。僕にジャズ理論を教えてくれたのは、ジャズ・サックス奏者のウォルター・スミス3世だったんだけど、卒業する前には彼がどれほどのレジェンドなのかを知らなかった。あの学校には、素晴らしい先生たちが揃っていたんだ。

Photo by Lauren Desberg
―ニューイングランド音楽院(New England Conservatory of Music)での経験についても聞かせてください。
マヨ:ソルフェージュの授業は、初見で歌うための耳と目のトレーニングだったね。あれは本当に役に立ったよ。クラシック理論の授業では、クラシック音楽における和声や進行について学んで、一方でジャズ理論の授業も並行して受けていたから、同じコード進行でも異なる視点から捉えることができた。その対比もおもしろかったね。
対位法(カウンターポイント)の授業では古楽を歌いながら、当時の人たちがどのように音を聴いていたかを学んだ。和声の中心はやはりヨーロッパ音楽だったけど、キューバ音楽やブラジル音楽、そしてもちろんジャズもたくさん聴いたよ。
ジャズボーカルの先生はドミニク・イード。ルシアーナ・ソウザやケイト・マクギャリーも彼女の教え子だし、テオ・ブレックマンとも親しいんだ。そんな彼女から、テクニックと音楽性の両面で、僕の基礎をしっかり築いてもらえたと思ってる。
―その後は、セロニアス・モンク・インスティテュート・オブ・ジャズ(Thelonious Monk Institute of Jazz)にも進まれたんですよね?
マヨ:モンク・インスティテュート(現:ハービー・ハンコック・インスティテュート)では、生徒たちが全員バンドを組まされるんだ。僕が所属したのは、ピアノ、ベース、ドラム、アルトサックス、テナーサックス、トロンボーン、そして僕の7人編成で、オリジナル曲やスタンダードのアレンジを演奏していた。
あとは月に1~2回、アーティスト・イン・レジデンスが学校に1週間滞在して、彼らに直接レッスンを受けられる。たとえば、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ルシアーナ・ソウザ、ロバート・ハースト、ハル・クルックといった錚々たる顔ぶれから、演奏、作曲、即興、アレンジについて直接アドバイスをもらえるんだ。
それ以外にも、地元の学校でジャズや即興演奏を教える地域貢献活動や、国際ジャズ・デーへの参加など様々な経験を積むことができた。僕がいた2年間では、1年目にパリ、2年目にワシントンDCを訪れたんだけど、どちらも本当に楽しい経験だったよ。学生用のアパートも用意されていて、一緒に暮らしながら音楽漬けの毎日を送ることができた。濃密で、音楽的にもチャレンジングな日々だったね。
楽器みたいな歌声のルーツ
―これまでに特に分析してきたボーカリストは誰でしょう?
マヨ:エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエ、ベティ・カーター、ボビー・マクファーリン、グレッチェン・パーラト、シャーリー・ホーン……僕はいつも歌手の歌を聴くとき、単に耳から入ってくる音の体験としてではなく、「彼らは歌を通して何を伝えようとしているのか?」「自分はそれを聴いてどう感じるのか?」「彼ら自身は何を感じながら歌っているのか?」といったことに注目してきた。そういうふうに聴くと、興味は尽きないし、歌い方を通してその人自身について多くのことを学ぶことができるんだ。
―「器楽的なボーカル」の側面に関してはどうですか?
マヨ:まず思い浮かぶのはボビー・マクファーリン。彼のアルバムはほぼ全部、本当によく聴いたよ。中でも特に印象に残っているのが、NECに通っていた19~20歳の頃に聴いた『The Voice』だね。もちろん、それ以前から彼のことは知っていたんだけど、あのアルバムにはど肝を抜かれた。
彼が歌う「Blackbird」は特にそう(歌ってみせる)。メロディラインを含めて、そのすべてが美しいだけじゃなく、技術的に見ても信じられないことばかりなんだ。
―あなたが歌っているベン・ウェンデルの『High Heart』や、クリスチャン・ユーマンの『ALLEMONG』を聴くと、”器楽的”というより、もはや”楽器そのもの”のように感じます。そうした表現に影響を与えた人物はいますか?
マヨ:インプロヴィゼーションや、ちょっと難しいメロディ、新しくて面白いコードに出会ったとき、僕の耳は自然と反応するんだ。「今のは何だ?」と思った瞬間に、そのコードの中に入り込んで、仕組みを理解したくなる。僕にとって音楽を理解したり、創り出したりするときの最初の手段は、やっぱり自分の声。だから、コードの中で何が起きているのかを探るときは、自然と自分の声で音をなぞって、その輪郭をつかもうとする。耳と声を同時に使う作業だから、決して簡単なことじゃない。でも、それが僕には楽しいし、難しくても「やりたい!」っていう気持ちの方が強いんだ。
―コーリー・スマイスの『Accelerate Every Voice』も聴きました。あそこでのあなたは”歌”というより、”声”そのもののパフォーマンスをしているように感じました。
マヨ:声に対する興味は尽きないね。どこまでいけるのか、その限界を知ることにもずっと惹かれてきた。でもそれは、何かを証明したり、成し遂げようとするためじゃなくて、ただ純粋に「うわ、すごいなぁ」って感動するから。自分で歌うのも、人が歌うのを聴くのも、ただただ歌が好きなんだ。
だから、誰かが声を新しい方法で使っているのを聴くと、すごくワクワクする。たとえば、初めてトゥヴァのスロートシンギングを聴いたときは、「こんなことできるの?!」って驚いたし、レイラ・ハサウェイが一度に2音を同時に歌うのを初めて聴いたときは、本当に衝撃的だった。あれは今でも真似できないし、彼女がどうやっているのか、正直さっぱりわからない(笑)。でも、そうやって誰かが新しいことをやっているのを聴くと、「かっこいい! もっと知りたい!」っていう気持ちになるんだよね。
トゥヴァのスロートシンギング
レイラ・ハサウェイ(文中で言及している歌唱法は6:10あたり)
―声でいうと、クラシックや現代音楽の歌唱法も学んでますか?
マヨ:正式にオペラを学んではいないけど、大学の友人の半分は声楽専攻だった。僕自身もコンサート合唱団やクラシックの合唱団、ゴスペルクワイアでも歌ってきた。大学ではクラシック理論を学び、訓練も受けたので、正式に学んではないものの、それに近い経験はあると思う。ボーカルレッスンも長く受けているよ。歌唱法にはいろんな流派があるけど、どれが”正しい”とか”一番優れている”というよりは、どれも表現のためのツールだと思ってる。ジャズ以外のジャンルもたくさん歌ってきたし、R&Bやネオソウル、たまにポップスも歌う。僕はロサンゼルス育ちだし、セッションの仕事をするなら、月曜はカントリー、火曜はゴスペル、水曜は合唱みたいに、色々と行き来できないとやっていけない。両親がそうやってきた姿を見て育ったから、自分も自然とそうなったんだと思う。
―あなたは自身でも作曲をしますよね。研究してきた作曲家は誰ですか?
マヨ:作曲を意識したのは… … というのも、最初の頃って、誰がその曲を書いたという発想すらなかったりするよね? そんな中で初めてそれを意識したのが、ビリー・ストレイホーン。きっかけはエラ・フィッツジェラルドが歌う「Lush Life」だった。当時15歳だった僕には内容を理解するにはまだ早かったけど、それでも「なんて美しい曲なんだろう」と感じたのをよく覚えてる。もう一人はデューク・エリントンだね。そして、ティグラン・ハマシアンにも衝撃を受けた。ピアニストとしてもだけど、彼が書いた「The Rain is Coming」を16歳の時に聴いて、「音楽ってこんな鳴り方する?」と思ったんだ。
―へー、ティグラン・ハマシアンですか。
マヨ:彼のリズム感やメロディのセンスが、ずっと好きなんだ。複雑さとシンプルさの間の面白いバランス感覚というか。たいてい、両方が同時に存在している。たとえば、リズムはものすごく複雑なのに、メロディはとても優しくて、ふわっとその上を飛んでいるような感じが、すごくいい。逆に、シンプルに聴こえる曲では、リズムではなくてハーモニーで複雑なことをしていたりする。あと、ミュージシャン的なこだわりで言えば、「4拍子を感じる方法はこんなにもたくさんあるんだ」って気づかせてくれるところ。ティグランのめちゃくちゃ複雑に聴こえるリズムの多くが、実は変拍子ではなく、4拍子だったりする。そういうところが好きだよ。
―その一方で「歌もの」も書かれると思うのですが、ソングライターって意味ではどうですか?
マヨ:影響を受けたというより、すごく好きでよく聴いたのはベッカ・スティーヴンスかな。彼女は僕らの世代を代表するソングライターだと思うし、書く曲すべてが芸術作品のようなんだ。
―ベッカも、リズムもハーモニーも難しい曲を書きますよね?
マヨ:そりゃあもう彼女の音楽はすごいことになってる(笑)。初めて聴いたのは21歳頃、友人たちとブラジルにいた時、みんなが「ベッカ・スティーヴンスが……」と口々に名前をあげるんで「それって誰?」と言ってかけてもらったのが『Weightless』だった。その瞬間の衝撃と言ったら! ソングライティング、オーケストレーション、ハーモニー、楽器の使い方、歌……すべてが美しいアルバムだ。グレート・アメリカン・ソングブックと呼ばれるスタンダードが今でも愛されている理由って、32小節とか36小節の中に、感情がギュッと詰まった美しい曲だからだと思うんだよね。そういう感じだよ。
ゲーム好きであることが音楽に与えた影響
ーあなたはDAWやサンプラー、ルーパーなども使いますよね。
マヨ:ルーピングとの出会いは全くの偶然だった。友達がルーパーを手放そうと思ってたみたいで、僕に「半年くらい貸そうか?」と言ってくれたんだ。僕は詳しくなかったんだけど、とりあえず借りて、マイクを繋ぎ、アンプに通し、色々試したんだ。そしたらハマったんだよね。つまり完全な独学ってこと。
ーそういったプロダクションに関しての影響ってことだとどうですか?
マヨ:プロダクションに関しては、何年もYouTubeを見たり、音源を聴ききながら分析し続けてきた。あと、僕は自分のボーカルを重ねるんだけど、そこに関しては、大きな影響を受けた人が3人いる。まずはブランディの『Full Moon』。それからディアンジェロの『Voodoo』。もう一人は母のヴァレリー・ピンクストン。母は本当に素晴らしいボーカルアレンジャーで、アニタ・ベイカーやルーサー・ヴァンドロスとも仕事をしてる。子供の頃から、彼女のハーモニーアレンジをずっと聴いて育ったんだ。
―ブランディのプロダクションはどこがすごいんですか?
マヨ:彼女のボーカルは、リードに関してだけでも何時間でも語れるけど(笑)、 バックボーカルのバランスが絶妙なんだ。音楽的だし、ハーモニーの中に溶け込む様子は、もう完璧だと言っていい。特に『Full Moon』でそれが顕著で、シンガーの間であのアルバムは「ボーカルの聖典」って呼ばれてるくらい、歌もリフもバックボーカルも、フックが効いた曲も、プロダクションも最高なんだ。彼女のバックボーカルとリードはコール&レスポンスになってて、サウンドのプロダクションとも呼応してるし、全体の中ですごく美しい位置に収まっているんだよね。
―でもあなたは、今名前を挙げてくれた人たちよりも複雑なハーモニーや変わったコーラスのアレンジをしてますよね。他にも影響源があれば教えてください。
マヨ:最近で言うと、セージュはほんとに凄い。彼女たちのアルバムが出たのは、僕の『Bones』が出た後だったんだけど、もし彼女たちのが先に出てたら、間違いなく影響を受けてたと思う(笑)。
―ところで、あなたはゲームが好きなんですよね。ゲームはあなたのクリエイティブに影響を与えていると思いますか?
マヨ:そうだね、僕は年季の入ったゲーマーだよ。最初にハマったのは90年代のゲームボーイとプレステ。ずっと好きだったけど、そのことを公開したきっかけはパンデミックだった。ゲームは一人でやる趣味だと思ってたけど、2021年にTwitchで配信を始めたのをきっかけに、同じ趣味を持つ人たちのコミュニティを見つけたんだ。
僕が一番やってるのは『大乱闘スマッシュブラザーズDX』。すごくテンポが速くて即興性が高いところが、音楽の即興演奏とも似てる。対戦相手がいるところも似てるけど、ゲームでは相手を徹底的に打ち負かさなきゃいけないので、そこは違うね(笑)。でも、相手との駆け引きや「遊び」の部分は、どこか音楽にも通じるものがあるし、実に奥が深くて、何層にも重なる複雑さを持ったゲームなんだ。
実は、ゲームのレッスンも受け始めていて、練習すること自体が上手くなった気がするよ。僕にとって一番好きなのは音楽だけど、その音楽以外に練習できる何かができたことで、変化が生まれたんだ。これまでも音楽の練習には、たくさんの時間とエネルギーとお金を注ぎ込んできたから、練習するってだけでプレッシャーを感じることもあった。ところがゲームは趣味だし、そこまでお金もかけてないので、純粋に楽しめる。音楽では難しく感じる練習もゲームでなら試せるんだ。
―ゲームのレッスンですか。
マヨ:こんな経験があるよ。数年前、NYでピアノトリオでギグをやったんだ。最初のギグを控えて、僕はめちゃくちゃ緊張してた。僕はシンガーであって、本来はピアニストじゃない。ピアノで表現したい音が思うように弾けなくて、かなりストレスを感じていた。で、ライブの前日、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』の大会に行って、ゲーマー仲間と話してたんだ。「なんか最近、(ゲームが)すごく下手になった気がする。技術的なミスばかりしてる」とこぼしたら、その友達が「それは指を細かくコントロールしようとしすぎてるからだと思う。今までの練習を信じて、指に任せてみなよ。意識ではそっと舵を取るくらいにしておきなよ」と言った。その瞬間「これってピアノの弾き方を教わったってことかも!」って気づいた(笑)。翌日のライブで試したら大成功。ゲームの世界の友達が教えてくれたゲームのアドバイスが、そのまま音楽のアドバイスになることもあるんだ。
『大乱闘スマッシュブラザーズDX』でコンボを炸裂させるマイケル・マヨ
―最後に、これは訊きづらい質問なのですが。ジャズにおいて「男性のボーカリスト」って少数派ですよね。男性のジャズ・ボーカリストとして活動することの困難さ、もしくは逆にメリットなどはあるのでしょうか?
マヨ:最後に大きいテーマをとっておいたね(笑)。困難があるとは、正直あまり感じていないかな。あるとすれば、それは「男性であること」よりも「シンガーであること」に関係してる。会場や土地柄にもよるけど、ステージで「シンガーに対する偏見」に出くわすことはたまにあるよ。相手が自分のことを知らないと特にね。それって、ミソジニーの延長線上なのではないかなって思う。でも、仮に僕がそういう偏見を受けたとしても、それはもともと女性が受けてきた偏見の名残によるものだと思うし、ステージに立つ女性が経験することに比べたら、全然マシだと思ってる。
「男性シンガーであること」そのものにメリットやデメリットがあるとは思ってないよ。反論もあるだろうし、間違ってると言われたら受け入れるよ。僕としては、もしメリットがあるとすれば、それは「男性であること」によるものであって、女性やノンバイナリーの友人たちが日々直面しているような困難に対して、僕は多くのことを気にせずに済んでいるっていう点だと思う。でもそれは「男性シンガーだから」ではなく、ただ「男性だから」ってことだから。
シンガーであること自体にメリットがあるとしたら、「人に聴いてもらいやすい」ってことかな。一般的にリスナーはインストゥルメンタルよりも歌ものを聴く傾向がある気がするし。自分でも納得のいく答えになってるかは自信ない。でもひとつ言えるのは、君の言うとおり、男性シンガーは少ない。理由はわからないけど、それは確かに感じるよ。
―なるほど。個人的に男性ボーカリストはR&Bシンガー寄りだとそれなりに売りやすいけど、ジャズ・ボーカルだと売りにくいと思われてそうだなって思ってたんです。だから、あなたが出てきて活躍していることはすごいなって。
マヨ:でも男女比は均等になってきている気がするし、「君は男性シンガーだから、売りにくい」と言われたことは一度もないよ。ただ、歌うのに必要な、ある種の”脆さ”や感情に関わる能力を、男性はあまり社会的に教えられていないし、やりたがらないということなんじゃないかな。幸い僕はそういうことは気にしてないし、歌うことが自分の存在そのものだ。僕と一緒に暮らしたことがある人に聞けば、僕は”歌ってない時がない”って証言してくれるはずさ。

マイケル・マヨ来日公演
2025年5月26日(月)・27日(火)・28日(水)
[1st Show] 開場 17:00 / 開演 18:00
[2nd Show] 開場 19:45 / 開演 20:30
メンバー:
マイケル・マヨ(Vo)
ファビアン・アルマザン(P)
リンダ・メイ・ハン・オー(Ba)
ロビン・ベイタス(Dr)
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