7月27日、神奈川・川崎 CLUB CITTAにてNovel Coreが『”BACK TO AGF” TOUR 2025』の最終公演を行なった。同ツアーは全国16カ所を周り、過去最多公演数を大幅に更新した全国ツアー。
Novel Coreはハウスバンド・THE WILL RABBITSとともに、会場に集まったOUTER(Novel Coreのファンの呼称)を大いに踊らせた。そんな同公演の昼の部をレポートする。

【ライブ写真ギャラリー】”BACK TO AGF” TOUR 2025 最終公演

開場前に注意事項のアナウンスが流れただけでも、会場は大盛り上がり。「Novel Coreが客席に近づきましたら、体を支えていただきますようよろしくお願いいたします」という言葉には、大歓声が上がっていた。「ダイブするということか……?」と思っていると、「はい、よろしく~!」とNovel Core本人の声が聞こえてくる。それを皮切りにクラップが巻き起こり、暗転。ステージの紗幕にNovel Core、THE WILL RABBITSの面々のシルエットが映し出されたところで、紗幕が落ちて5人が姿を現した。オープニング曲は「A GREAT FOOL」だ。「ただいま、川崎!」、「もっと来いよ!」、「おい、全然声聞こえねぇぞ!」と初っ端から煽りまくるNovel Core。OUTERたちもそれに応えるかのように声を張り上げて歌っていく。早速客席に身を乗り出して大暴れ。1曲目にもかかわらず、あまりにも”魂のライブ”すぎる。
「そんなもんじゃねぇだろ、川崎!」と続いたのは「Welcome To My Brain」。Novel Coreの声とTHE WILL RABBITSの演奏の音だけでなく、歌うOUTERの声、歓声、クラップ音、ジャンプするOUTERの足音……と様々な音が混ざりあって空間を彩っていく。そのままノンストップで「RULERS」へ。「ラップが好きなやつはどんだけいるんだ?」という煽りの言葉どおり、鋭いラップを披露して両手を上げるNovel Coreに、これでもかというほどの大きな歓声が送られていた。

Novel Coreがライブハウスで交わした、魂と魂の交換 ミクスチャーの真髄を体現

Photo by Satoshi Hata

ひと息つくと、「調子どうだ、川崎!」とシャウトするNovel Core。前方エリアに目をやり、「そこ、隙間空き過ぎなんちゃうん?」、「今日はガンガン前来いよ、お前ら! ライブハウスの楽しさを教えてやるぜ!」とシャウト。さらに「助け合えよ! 思いやりあえよ! でも絶対遠慮すんな!」と早速楽しみ方をレクチャーした。あまりにも熱い川崎 CLUB CITTA。しかし、まだまだ足りないと言わんばかりに、「後半の体力は、フルシカトでいこうぜ」と「SHIKATO!!!」がスタート。ステージ上を縦横無尽に飛び跳ねながらラップをするNovel Coreにつられるように、会場も飛び跳ねていく。そのまま「SKILL TEST」でさらにラップを披露する姿に、思わず「ラップうまいな……」と至極当たり前の言葉が口をついて出るほど圧倒されてしまう。「全員で1対1しようぜ!」で始まったのは、「WAGAMAMA MONDAIJI」。
THE WILL RABBITSもそれぞれソロで魅せると、「バテさせてやるよ!」と「BABEL」で会場を踊らせていく。「今日は、なんば(hatch公演)よりも過激にしますよ」と「独創ファンタジスタ」へ。OUTERの〈ドレミファソラシド〉、〈BA-KA-NI-NA-RE-BA-I-I〉もいつものごとくバッチリキマる。いや、むしろいつもよりも熱かったかもしれない。そんな空気を受けて、Novel Coreは「手貸してくれ!」とまたもや客席に身を預けながら歌っていた。「涙出ちゃうよ、楽しすぎて」という言葉で始まったのは、「HAPPY TEARS」。相変わらずNovel Coreのセットリストの流れは美しい。クールダウンするように体をゆるく揺らしながらハッピーな空間を広げていった。

Novel Coreがライブハウスで交わした、魂と魂の交換 ミクスチャーの真髄を体現

Photo by Satoshi Hata

ここで改めて自己紹介。「ちょっと言わせて」と前置きすると、「3年半ぶりの約束果たしに来たぜ!」。2022年1月22日、Novel Coreはここ川崎 CLUB CITTAで初の有観客ワンマンライブを行なっていた。当時は、コロナ禍真っ只中。
ソーシャルディスタンスを守るために600人のみの無歓声でのライブだった。しかし、コロナも収束に向かい、Novel Coreはツアー、大きな会場でのライブ、フェスへの出演と着実に経験を積んで、再びこの場所に戻ってきたというわけだ。「今日の日を楽しみにしていたやつは声を聞かせてくれ!」とシャウトすると、割れんばかりの歓声が鳴り響く。Novel Coreは「みんなの声でイヤモニもこれ(モニタースピーカー)も全然聞こえねぇ!」とニヤリ。しかし、「でももういいんだよ。俺はきれいなライブをするのは去年のツアーで卒業したんだよ」、「歌がブレようが、体がへばろうが、なんでもいいんだよ。みんなと1対1で本気の魂の交換しに来たぞ!」と観客を沸かせた。

ここからは、新曲タイム。8月6日に配信リリースされる新EP『BABiES AGAiN』から、「C.O.R.E」、「EVER EVER GREEN」、「HANERO!!!」を披露。いずれもTHE WILL RABBITSの尖ったサウンドにNovel Coreの歌声が映えるナンバーだ。同公演の夜公演後、Instagramで「俺は自分のサウンドを ”ミクスチャーミュージック” と再定義する」と宣言していたが、まさにそれを象徴するような3曲であった。ちなみに、第二部となる夜公演では、本ツアーで初披露となる「DiRTY NASTY」もパフォーマンスされた。


THE WILL RABBITSによるインスト曲「BACK TO AGF」が演奏されると、再びNovel Coreがステージに登場。「No Way Back」で後半戦に突入だ。〈Oh, oh, oh, oh, oh, oh〉の大合唱でエンジンをかけると、一気にボルテージが上がっていく。ステージのド真ん中で歌うNovel Coreは、前半戦と違ってまるでロックバンドのボーカルのよう。「ここから一番ハードなゾーンいくぞ!」という煽りで「カミサマキドリ」が始まると、途中「真ん中空けろ! 円形だ、円形!」とシャウト。あっという間にサークルが出来上がる。その中心でもみくちゃになりながらも魂の歌声を届けると、OUTERたちもいい表情をしながらライブハウスならではの遊びを楽しんでいる様子だった。最終的に靴が脱げながらもステージに戻っていくNovel Core。続く「UNDEFEATED」でも客席にサークルができつつあったのを見ると、序盤の「ライブハウスの楽しさを教えてやるぜ!」という言葉が有言実行されていることが伝わってきた。客席にはライブの様子をカメラで収めているスタッフがいたのだが、動いていないカメラマンの姿が目立つほどだった。それほどまでに観客飛んだり、跳ねたり、踊ったり、全身でライブを楽しんでいた。

Novel Coreがライブハウスで交わした、魂と魂の交換 ミクスチャーの真髄を体現

Photo by Satoshi Hata

その様子を見たNovel Coreは「誰がたった1回のツアーでこんなにフロアが成長すると思ったんだよ」と嬉しそうな顔を見せ、思いを語っていく。
途中、Novel Coreのライブに初めて来た人が手を挙げると、会場から拍手が送られた。Novel Coreは「人の幸せに心から拍手できるファンがたくさんついていて、本当に嬉しいです」と、さらに顔をほころばせた。「今日会場にいる中で、1人だなと感じる子もたくさんいると思うし、俺だって思うから。でも、あなたは1人じゃないですよ。こんなにたくさん仲間がいるんだから」、「ここにいるあなたとちゃんと目を合わせて1対1を何回もやりたい。何らかのきっかけで俺を知って、ついてきてくれているあなたにちゃんとありがとうと言いたい。そのためにこのツアーをやっています」とOUTERに思いを伝えていく。

「東京ドームの外ですれ違って、『川崎で会ったね』って言いたいよ。俺が絶対連れていくし、あなたに必ず連れて行ってもらいます。その日も絶対歌いたいなって曲、歌わせてもらっていいですか?」と語って始まったのは、「Right Here」。同曲は制作当時に好きだった子へ向けて書いた曲だが、今やOUTERに向けた曲になっている。じっくり耳を傾けていると、そのまま「PERIOD.」へ。
彼の歌詞は等身大でリアリティがあるからだろうか。何度聴いても聞き入ってしまう魅力がある。〈あの先輩の事務所の1人目だって〉から続いたのは、メジャーデビュー曲「SOBER ROCK」。「BMSG、SKY-HIとたった2人で始まって5年経ちます。俺がいる限り、絶対誰にも馬鹿にさせねぇ!」と高らかに宣言しつつ、OUTERとともに歌い上げていった。

「Green Light」で声を枯らしつつも、どこか晴れ晴れしい顔をしているNovel Core。ここで「みんなで歌いたい」「みんなで育ててきた曲でしょ」という言葉で、「THANKS, ALL MY TEARS」へ。さらに「HERO」からのラストナンバー「プライド」と続く。最後の最後までボルテージが上がり続け、最高の盛り上がりのまま、ライブに幕を下ろした。

「ライブ中でも会話してよね」と、終始OUTERを気遣っていたNovel Core。彼にとってOUTERが大切な存在であるということはもちろん、OUTERもライブを作っている一人だからこそ、こうした思いやり溢れる言葉が出ていたのかもしれない。そんなことを思いつつ、ライブ会場を後にした。

Novel Coreがライブハウスで交わした、魂と魂の交換 ミクスチャーの真髄を体現

Photo by Satoshi Hata
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