※以下、当日の出演時間順に掲載
SixTONES
11:00〈MARINE〉
演技でもバラエティでも爪痕を残しているスーパーヒーローズ、SixTONES。そんな彼らの軸足は音楽にあるのだと、灼熱のMARINE STAGEで証明してみせた。ド頭に「こっから」をドロップし一気に観客の心を掴むと、「Waves Crash」「GONG」と勢いのままに畳みかけていく。感情を素直に吐き出すような歌唱は、オーディエンスが思わず前のめりになってしまうほどの熱量だ。それでいて、どんなジャンルも自分たちのカラーで昇華する技術と音楽愛も併せ持つ。レゲエだってロックだってヒップホップだって、6人の磨き上げられた表現力にかかればお手の物。生バンドに乗せて歌やラップのニュアンスを操るだけに飽き足らず、ダンスで魅せて、遊ぶように巻き込む。圧倒的なライブアーティストたる貫禄をスタジアムに刻んだ。
[坂井彩花]
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LiSA
12:10〈MARINE〉
9年ぶりにサマソニへと帰還したLiSA。この期間で国民的シンガーの座へと上り詰めただけあり、初日の2番手ながらもMARINE STAGEにはスタンド席を埋め尽くさんばかりのオーディエンスが集まった。
[西廣智一]



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go!go!vanillas
12:50〈SONIC〉
「さあ、音楽で遊ぼうぜ!」と牧達弥(Vo, Gt)が1曲目の「one shot kill」からステージを降りて、早速、観客の中で歌うガッツを見せたGo!Go!Vanillasは30分のステージにライブのクライマックスを凝縮。
「念願のサマソニ初出演です!夏の思い出を一緒に作ろうぜ!」(牧)
ガレージロックの「来来来」とファンキーな「ダンデライオン」で観客を踊らせると、体を使って、タイトルの3文字を表現する振付を観客とともに楽しむ「EMA」からR&Bなロックナンバー「平安」に繋げ、観客をジャンプさせる。最後にそんな熱演を締めくくったのが「SHAKE」。持ち前のアーバンな志向がメランコリーに滲むバラード……と思わせ、サビでグルービーになる演奏がダメ押しするようにSONIC STAGEを揺らしたのだった。
「次は青空の下で会おう!」観客の拍手の中、ジェットセイヤ(Dr)の声が響き渡った。
[山口智男]



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PSYCHIC FEVER
13:20〈PACIFIC〉
昨年SUMMER SONIC BANGKOK 2024のステージに立ったPSYCHIC FEVERが、ついに日本のサマーソニックに登場。6月に開催したツアーで開幕を飾った「Reflection」をオープニングに持ってきたのは、自信の表れと言ってもいいだろう。パワーで押し通すわけでなければ、派手なアプローチで訴えるわけでもない。色っぽい艶と個性豊かなフロウ、洗練されたダンスに美意識を潜ませ、静かな炎でオーディエンスの心をジリジリと焦がしていく。
[坂井彩花]



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HOT MILK
13:45〈MOUNTAIN〉
2ndアルバム『Corporation P.O.P』のリリースに伴い、サマソニでの再来日が実現したホット・ミルク。フライングVを掲げたハン・ミーが豪快な歌声を響かせる「90 Seconds To Midnight」からライブをスタートさせると、フロアは早くも熱狂的な盛り上がりを見せる。2曲目には代表曲「Horror Show」が早くも投入され、ステージ目掛けて観客がどんどん集まり始めると、ハンはステージ上を所狭しと動き回るわ、ペットボトルの水を自らかぶるわと、その一挙手一投足に釘付けに。彼女のボーカルに絶妙なハーモニーを加えるジム・ショウの存在感も、このバンドには欠かせない要素であり、久しぶりにスター性満載のロックバンドが現れた……と、終始ワクワクが止まらない40分だった。
[西廣智一]



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WALLICE
13:50〈SONIC〉
日本にルーツを持つ、LA拠点のシンガーソングライター、ワリス。今回が初来日となった彼女は、これまでにDirty HitのレーベルメイトであるThe 1975のオープニングアクトを務めるなど、音楽ファンの間で着実に注目を集めてきた。ギター、ベース、ドラムによるミニマルなバンド編成でステージに現れると、まずはメアリー・ルー・ロードやアヴリル・ラヴィーンを彷彿とさせる「Gut Punch Love」でライブをスタート。続く「Best Friend」は、友情の終わりをテーマにしたメランコリックなメロディと、USオルタナ~グランジを通過したような荒削りのアレンジが心をざわざわと掻き立てる。一方で、トランペットの使い方がどこかバート・バカラックにも通じる「Flash In The Pan」など、アレンジの引き出しの多さも印象的。
[黒田隆憲]



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HANA
14:30〈PACIFIC〉
PACIFIC STAGEは、入場規制がかかるほどに超満員。そんなハイプレッシャーな状況下にも関わらず、HANAはオーディエンスの期待値を軽々と超えてきた。アカペラで歌い上げられる「Tiger」の冒頭は、圧倒的な歌唱力があってこそ。まさに”実力の暴力”だ。男性ダンサーと共に魅せる「Blue Jeans」なんて、目の前でリアルタイムのドラマが繰り広げられているかのような臨場感。楽曲を俯瞰的に捉え、個性と溶け合わせ、パフォーマンスに反映する力が並大抵じゃない。デビューからたった4カ月で、こんなにも自身やグループの強みをわかっているものなのか。音楽を通して魅せてくれる彼女たちの生き様は、己の足で立ち、自分だけの色の花を咲かせることの美しさを眩しいほどに教えてくれた。
[坂井彩花]



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CHASE ATLANTIC
14:35〈MOUNTAIN〉
曲調そのものは、メランコリックであるにもかかわらず、「Make some noise!! Louder!!」とエネルギッシュに観客に訴えかけるミッチェル・ケイヴ(Vo)のパフォーマンスと、それに対する観客のビビッドな反応が昼下がりのスタジアムに熱狂を作り上げた。
今回、初来日となる現在はLA在住のオーストラリア出身の3人組。バックボーンに持つR&Bのエッセンスを、アトモスフェリックな音像を作り上げるオルタナ・ロックに落とし込むバンド・サウンドは同時にクランチリフやラウドなドラムからメタルの影響が窺えるところがおもしろい。
一際ヘヴィな「Okay」でアリーナの観客をしゃがませ、「1-2-3-Go!」で一斉にジャンプさせると、ラストスパートを掛けるように演奏はさらに熱を帯び始め、最後のラップロック・ナンバー「Friends」で一気に白熱していったのだった。
[山口智男]



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MONOBLOC
15:00〈SONIC〉
「運命をまっとうするために出発した。彼らは旅が容易でないことを知っていた」──そんな自動音声による日本語ナレーションから幕を開けたのは、モノブロック。年明けのrockin'on sonic出演からわずか半年で早くも2度目の来日を果たした彼らは、コロナ禍に結成されニューヨークを拠点に活動する5人組だ。UKレーベルFactory周辺からの影響を公言しているだけあり、タイトでミニマルなアンサンブル、独特のコブシを効かせた低音ボーカルは、ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダーあたりを思わせるものがある。長髪長身のフロントマン、ティモシー・ウォルドロンのカリスマ性はもちろんのこと、唯一の女性メンバー、ニーナ・リューダースが奏でる耽美的かつ幽玄なギターサウンドも、彼らのシグネチャーとして強く印象に残った。やや生真面目すぎる印象も否めないが、ラストに披露された「Irish Goodbye」のヒリヒリとしたノーウェイヴ感とカオティックなグルーヴには、確かな”伸びしろ”を感じた。今後どのように化けていくのか、その成長の過程を追いたくなるバンドである。
[黒田隆憲]



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BUS because of you i shine
15:20〈PACIFIC〉
大型オーディション『789 SURVIVAL』によりメンバーが選出された、タイのボーイズグループBUSがサマーソニックの舞台に初登場。生バンドの演奏に乗せて届けられるパワフルな歌声とダンスは迫力満点だ。「BOSS IN THE BUILDING」で各々のカリスマ性を遺憾なく発揮したかと思えば、「BOW WOW」ではキュートな一面を覗かせ、「LIAR」ではセクシーなダンスで骨抜きに。楽曲ごとに違うアプローチを取り、多彩な魅力でオーディエンスを楽しませていく。
[坂井彩花]
皆さん~ 今日は僕たちに会いに来てくださって、たくさん応援してくださり本当にありがとうございました!
僕たちの初サマソニは、皆さんのおかげでとっても楽しかったです
皆さんも今日の僕たちのステージを楽しんで、気に入ってくれていたら嬉しいです。
またお会いしましょうね~
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Thank… pic.twitter.com/agWYsDr9Qw— BUS because of you i shine (@BUS_SONRAY) August 16, 2025
YUNGBLUD
16:05〈MARINE〉
「クレイジーになる準備はできてるか!?」
コロナ禍の最中の2022年、同じMARINE STAGEで炎上上等のパフォーマンスを繰り広げ、大きなインパクトを残した21世紀のロックスターがサマソニに帰ってきた。ミック・ジャガーも顔負けの口のデカさをアピールしながら繰り広げるエネルギッシュでアンセミックなパフォーマンスはさらにパワーアップ。花道も含む広いステージを走り回りながら、アリーナの観客にモッシュピットを求め、そこにダイブするガッツを見せたのは観客にダイレクトにコンタクトしたかったからだ。
ステージに上げ、ギターを託した男性ファンが堂々としたパフォーマンスを繰り広げ、スタジアムを沸かせた「Fleabag」、観客のシンガロングが大きな一体感を生んだ「Loner」など、見どころは少なくなかったが、何よりもシビれたのは、「ダイスキジャパン!」と言いながら、本気で日本のファンと交歓を楽しむヤングブラッドの姿だったのだ。
[山口智男]
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BLOC PARTY
17:25〈SONIC〉
イントロが奏でられるたびに、フロアのあちこちから歓声が湧き上がる。実に10年ぶりの来日となったブロック・パーティーのライブを、どれだけ多くの人が待ち望んでいたかが伝わってくる光景だ。2000年代初頭に登場し、ポストパンク~ニューウェイヴ・リバイバルの一役を担った彼ら。その後4年にわたる活動休止やメンバーの相次ぐ脱退など困難が続いたが、それでも断続的ながらマイペースに活動を継続していた。
そこからは『Silent Alarm』や『A Weekend in the City』といった初期アルバムからの楽曲を中心に、ライブの鉄板曲を次々と畳みかけていく。より深みを増したケリー・オケレケのボーカルに、宙を切り裂くラッセル・リサックのギター、そしてルイーズ・バートルとハリー・ディーコンによる息の合ったリズム隊。かつては「アートスクールの学園祭バンド」などとギャラガー兄弟に揶揄されていた彼らだが、筋肉隆々となったケリーを中心に今やメンタルもフィジカルも強化され、「ダンスミュージックとバンドサウンドの融合」というデビュー当初からのコンセプトを最良の形で体現していると言っていい。セトリの流れも完璧で、気づいたらメモを取るのも忘れて踊り狂っていた。足りない……今すぐにでも単独公演を!
[黒田隆憲]



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Official髭男dism
17:40〈MARINE〉
藤原聡(Vo, Pf)が声帯ポリープを発症したため、出演をキャンセルせざるを得なかったSUMMERSONIC 2023のリベンジ――。今回の出演をそう位置づけたOfficial髭男dismはホーン隊に加え、ゴスペルのクワイアを思わせるバックアップ・シンガー達も含むサポートミュージシャンとともにオンステージして、1曲目の「Pretender」から満員のスタジアムを沸かせていった。
「一緒に素敵な夏を楽しみましょう!」(藤原)
セットリストは、まさにヒット曲のオンパレード。そこにこの日がライブ初披露となるアップテンポでストレートな新曲「らしさ」を加えたことで、彼らが謳うリベンジはさらにスペシャルなものに。曲の中盤、機材トラブルで音が途切れてしまった数秒間、観客が手拍子でバックアップするという見事なチームワークはサマソニの伝説として、今後、語り継がれるに違いない。観客も一緒に歌った「Stand By You」のメッセージも、そんなライブの最後を飾るにふさわしいものだった。
藤原が快哉を叫んだ。「かけがえのない夏の思い出ができました!」
[山口智男]



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BAND-MAID
17:45〈PACIFIC〉
2年連続でPACIFIC STAGEの舞台に立ったBAND-MAIDは、フェスであろうと自身のアイデンティティを忘れることなく、オープニングを飾るインストナンバー「from now on」から無骨なハードロックサウンドを掻き鳴らす。続く「Zen」からボーカルのSAIKIが加わると、その第一声で場の空気を掌握。どれだけ激しい演奏にも負けない彼女の歌声そのものが強力な楽器として、豪快さの際立つ楽曲群をリードしていく。この「Zen」を含め、セットリストにはアニメタイアップ曲が多数含まれていたこともあり、その場にいたさまざまなジャンルの音楽ファンを大きなうねりの中に巻き込むことに。メイド服という鎧を纏った5人の戦士たちは最後までフルスロットルで駆け抜け、自身の役割を見事に全うした。
[西廣智一]



Photo by MISAKI ITO
BABYMETAL
18:50〈MOUNTAIN〉
最新作『METAL FORTH』を発表したばかりのBABYMETALが臨む2025年の夏は、同時に結成15周年という大きな節目でもあり、この日も「ヘドバンギャー!!」や「PA PA YA!!」「ギミチョコ!!」などの代表曲から新曲まで、オールタイムベストな選曲でオーディエンスを楽しませてくれた。そんな中、インドのボリウッドメタルテイストを交えた「Kon! Kon!」やデスコアに”カワイイ”要素を散りばめた「Song 3」、早くもクライマックスに欠かせないキラーチューンにまで成長した「RATATATA」など新作収録曲が、短いフェスのセトリの中でも緩急に富んだ流れを作り上げる。「METALのその先へ」という新作のテーマを見事に体現したステージは、BABYMETALにしか作り出せない稀有なものなのだと、改めて実感させられたステージとなった。
[西廣智一]



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FALL OUT BOY
19:25〈MARINE〉
病院のベッドの上で歌い始めたパトリック。スタンプ(Vo, Gt)がホスピタルガウンを脱ぎ捨て、ステージに躍り出るという演出で意表を突きながら、ライブは「Grand Theft Autumn/Where Is Your Boy」でスタート。そこから病気療養中のジョー・トローマン(Gt)のピンチヒッター、マックス・バーンスタイン(Gt)を含むステージの4人はさまざまな演出も交えながら、代表曲の数々を年代順に披露していった。
6度目のサマソニ出演となる今回、フォール・アウト・ボーイ(以下、FOB)は満を持してスタジアムでヘッドライナーを務めた。フェスのヘッドライナーというのは、バンドにとって勲章の1つみたいなものだが、同時にファンにとっても誇らしいものだ。まさにグレイテスト・ヒッツな23曲からなるセットリストの、ほぼ全曲を観客がシンガロングしたことで、その晴れの舞台は四半世紀に及ぶFOBのキャリアを祝福しているようにも見えたのだった。


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ピアノの弾き語り(「What a Catch, Donnie」「Golden」)も交え、類稀なる歌声の魅力を改めてアピールしたパトリック、タイトにリズムを刻みながら、シャイなパトリックに代わって観客に語りかけたピート・ウェンツ(Ba)、そしてバスドラの連打でバンド・サウンドにハードコア/メタル由来の荒々しさを加えたアンディ・ハーレー(Dr)。メンバーそれぞれのパフォーマンスにも見どころが少なくなかった。
一際大きな盛り上がりが生まれた「Centuries」とバンドの原点を刻みこむように最後に演奏した「Saturday」がこの日のハイライトだったと思う。が、個人的にはエモから出発して、R&B/ヒップホップ、さらにはオーケストラ・サウンドまで取り入れ、バンドの音楽性を発展させてきた延長で、シンプルなバンド・アンサンブルとともに極上のポップセンスをアピールした「Fake Out」が一番印象に残っている。
そして、「Saturday」を歌い終わり、力尽きたようにステージに倒れたパトリックを看護師たちがベッドに載せ、運び去るという演出で再び意表を突くと、大団円を飾る花火が上がったのだった。
[山口智男]



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BEABADOOBEE
20:15〈SONIC〉
SONIC STAGEの背面と側面を白幕で覆い、無造作に置かれた脚立や白テーブル、観葉植物に撮影用の照明器具。まるでフォトスタジオを模したようなセットがまず目を引いた。2年前のサマソニ以来、2度目の来日を果たしたビーバドゥービーが、新加入のギタリストを率いてバンド編成で1日目のトリに登場だ。キュートで可憐な歌声と、USグランジ~オルタナやシューゲイズを取り入れた荒削りだが強靭なバンドアンサンブル、そしてタイムレスでエヴァーグリーンなメロディ。コーチェラ出演から全米ツアーを経てバンドの胆力も一段と増し、アジアンインディーズ界のトップランナーとしての存在感を確立した今も、その本質は宅録音源をひっそりネットにアップしていた頃から変わらない。「日本でMVを撮影したお気に入りの曲」と紹介して演奏された「Ever Seen」、「この曲はみんなに捧げるよ」と告げて披露された「Glue Song」。合間には「みんな礼儀正しくて大好き!」と笑顔を振りまくなど等身大の魅力を放っていた。終始悲鳴にも似た歓声が上がっていたが、ベティ・ブープを思わせるコケティッシュな存在感が女性からの熱い支持を集めるのも納得だ。
[黒田隆憲]



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SUMMER SONIC 2025
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