オアシスの再結成ツアー「Live 25」がついにアメリカ上陸。シカゴのソルジャー・フィールドで開催されたツアー初日公演で、ギャラガー兄弟はスタジアムを支配するにふさわしい楽曲群と観客を見せつけた。


オアシスが最後にアメリカでライブを行ったのは2008年12月のことだった。その数カ月後、パリ公演のバックステージでノエルとリアムの兄弟喧嘩が勃発し、ツアーは無期限中止に。二人の関係は10年以上にわたり決裂し、バンドが母国イギリスで成し遂げたようにアメリカを制覇するという夢も潰えてしまった。

しかし8月28日の夜、シカゴで行われた待望の「Live 25」リユニオン・ツアー初のアメリカ公演で、ギャラガー兄弟は94年のデビュー全米ツアーで果たせなかった「宿題」に決着をつけるかのようにステージへと立った。数週間にわたり抱擁や笑顔、さらには悪ふざけすら交わしてきた彼らは、16年の空白を経てもなお、ローリング・ストーンズやブルース・スプリングスティーン、U2といった大御所たちが退いた後の「スタジアム・ロックの王座」を継ぐに十分な存在感とサウンドを誇示してみせたのだ。

#oasislive25 は次なる舞台、アメリカに上陸

シカゴの夜空にOasisロゴが出現!#オアシス再結成 pic.twitter.com/tStqVHsJpo— Oasis Japan / オアシス日本公式 (@Oasis19931997) August 30, 2025
アメリカの観客は、果たしてイギリス公演の熱狂に匹敵するのか? 少なくともシカゴにおいて、その答えは揺るぎない「イエス」だった。

スタジアム公演の前日、会場のソルジャー・フィールドから約11キロ離れたミルウォーキー・アベニューに登場したポップアップストアには、52,000枚のチケットが完売したライブを前に、オアシス信者たちが90分以上も列を成した。目当てはトラックジャケットやバケットハットをはじめとするグッズの数々。列にはアディダスのスニーカーや、過去の全米ツアー──2008年の不運に終わった『Dig Out Your Soul Tour』のTシャツまでもが溢れていた。

このツアーがアメリカ上陸前に頓挫するのではないかという懸念は杞憂に終わり、ファンはシカゴの澄み切った夏の夜に「不可能」が現実となったことを祝福した。セットの幕開けを飾った「Hello」では、その象徴的なメッセージを噛み締め、「Acquiesce」では兄弟の絆に歓喜し、「Cigarettes & Alcohol」では一斉に腕を組み、サッカーのポズナン応援を真似て飛び跳ねた。リアムは大喜びで観客に語りかける。
「アメリカ人がこんな馬鹿げたことやるわけないって、みんな言ってたよな。でももちろんやるんだよ」

ライブを重ねて絶好調のリアムとノエル

「Live 25」ツアーで最も大きな驚きは、リアムの規律と落ち着きだ。ロックンロールのフロントマンで、これほど少ない動きで多くを伝えられる者はほかにいない。シカゴのソルジャー・フィールドで彼が見せた最大の仕草といえば、最後の「Champagne Supernova」で足踏みしながら行進した程度だった。「Wonderwall」ではアノラックのフードを深くかぶり、顔をほとんど隠してしまう。だが、その声──今なお鋭い力を放つ、あの特徴的な鼻にかかった響き──がステージを完全に支配していた。

もっとも、オアシスのファンはリアムに過剰な演出を求めてはいない。彼はすでに、背中に手を組み、首を突き出してマイクに向かうだけで、ロックの象徴的なシルエットの一人として確固たる地位を築いているのだから。「Stand by Me」では少しだけ遊び心を見せ、耳を何度も弾いて観客を煽り、最後のコーラスを合唱させた。「アメリカに戻れてマジで最高だ。ずっと愛してるぜ」と彼は叫び、観客の熱狂をさらに引き上げた。

オアシス、17年ぶりのアメリカ公演で「全米制覇」ついに実現へ

オアシス、ツアー「Live 25」でシカゴのソルジャー・フィールドに登場(Photo courtesy of Big Brother Recordings.)

一方で兄のノエルは、リユニオン初期の公演で見せていた陰鬱な表情を和らげていた。
ツアー最初の数公演をまるでザプルーダー・フィルムを精査する歴史研究者のように細かく分析していた一部のファンからは、オアシスのギタリストでありソングライターでもあるノエルの様子に違和感があるという声もあった。どこか気まずそうで、乗り気ではないようにも見えたのだ。しかし公演を重ねるごとに彼は警戒心を解き、リアムに向けて笑みを浮かべたり、観客に向けておどけた紹介をしたりするようになった。シカゴではオリジナル・ギタリストのポール”ボーンヘッド”アーサーズを「ミスター・ボーン」と呼んで笑いを誘い、「Champagne Supernova」ではほとんど満面の笑顔を見せていた。

オアシスはしばしば職人気質とも言える演奏ぶりを見せるバンドだが、「Live 25」ツアーでは毎夜同じセットリストを披露している。それでも問題はなかった。全23曲がすべて大きな歓声を浴びたのだ。アメリカの観客の評価すべき点は、90年代にラジオやMTVで流れ続けた大ヒット曲だけを求めて集まったわけではなかったことだ。95年の大ヒット作『(Whats the Story) Morning Glory?』からの「Dont Look Back in Anger」や「Wonderwall」がこの夜最大の盛り上がりを見せたのは当然としても、アメリカではシングルとしてリリースされなかった「Slide Away」や「Whatever」にも数多くのスマートフォンが掲げられた。そしてノエルが歌う「Little by Little」では、イギリスの観客に負けじとばかりに声を張り上げ、「My god woke up on the wrong side of his bed!」と一斉に合唱する場面まであった。

オアシスのカタログ全体に対する反応、そして観客の中に数多く見られた20代の若者たちの姿は、このバンドが大西洋を越えて新たなファン層を獲得したことを証明していた。初めてアメリカで演奏してから31年を経た今も、ギャラガー兄弟には「アメリカを制する」可能性がある。
いや、少なくともシカゴでは、その夢はすでに現実になっていたのかもしれない。

7月4日に英国カーディフで幕を開けた「Live 25」ツアーは、カナダ~北米~メキシコ公演を経て、9月27日・28日にロンドンのウェンブリー・スタジアムでの公演を予定。10月にはアジアへと舞台を移し、21日に韓国・高陽スタジアム、25日・26日に日本・東京ドームでライブが行われる。

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”Its f**k**g mega to be back in America”
Chicago 28.08.25#OasisLive25 pic.twitter.com/bAQe85v9kK— Oasis (@oasis) August 29, 2025

From Rolling Stone US.

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