無観客でしょ? 実は超満員と無観客って等しいの
──PONさん、いろいろ大変な世の中ですが、お元気でしょうか。この自粛期間中はどう過ごしてました? PON:雑務に追われてヒーヒー言うてました、ライブのキャンセル処理とか初めてなもんで、もう大変(笑)。
──ああ、そうですよね。ツアーの予定も組んでましたし、ただ出演する予定がなくなっただけじゃないし。お疲れ様です! このステイホームな時期に何か観て良かったもの、聴いて良かったもの、読んで良かったものなどあれば教えてください。 PON:BGMとしてこれまであまり聴き込んでないレコードを順番に流してんねんけど、CHICがカッコよくてそればっかし聴いてた。ワンコードで突っ走る部分が凄いデンジャーで! たまらん。
──CHICってあのファンク/ディスコ・バンドのCHICですよね? あれは私も好きです。聴き直してみます。そういえばPONさん、CHARMYさんのインタビューも載ってた『関西ハードコア』も面白かったですね。 PON:予想以上に凄まじくてまともに読まれへんかった。斜め読みだけで背中に汗だらだら出たよ。
──わははは。いや、ほんと凄まじい本でした。さて、今回、かなり延期や中止になっていろいろ大変だったと思いますが、6月20日に配信ライブをやられるとのことで。それはどのようなライブになりそうですか? PON:無観客でしょ? 実は超満員と無観客って等しいの。両方ともスイスイ調子乗れる。無観客ってリハの時やねんけど、二日酔いの時とか「上げてみよ!」とTV収録とかの気分で踊ったりしたらアホみたいにいけるんよ。
──なるほど(笑)。 PON:超満員の時は何も気を使わず会場全体を支配できるあの感じ。こないだのリハでメンバーに「これ無観客のほうが全然ラクなんちゃうか?」ってゆうたら無視してたけど(笑)。枠組みが限られてるんでショウケースを基本に、そこにその場の生な感覚でどこまで調子に乗ってぶっちぎれるかが大事。準備も練習もすべてはその一点のためのみやねん。
──これはこれで良い機会なので、ライブハウスから遠ざかって長いこと観に来れてない昔のファンにも観ていただきたいと思います。 PON:日本全国の日頃ラフィンの名前を挙げていただいてる方全員にぜひほんと観てほしい。1,000円です。で、今のラフィンの勢いに驚いてほしい。
特に女性ドラマーにはびっくりするんちゃうかな。
──ちーちゃん(Ds)は華がありつつもポップ、なおかつ鋭さもあって素晴らしいですからね。違和感もないし。たしかにそこは観て驚いてほしいです。今回、選曲はどんな感じになりますか? PON:いつもライブに来てる方、ご無沙汰だった方にも完全に満足してもらえるメニューを用意してます。安定と冒険! 過去も未来も関係なくね。
コロナを盾に煽りまくる体制とTVにはNOやわ
──“安定と冒険”ってまさにラフィンそのものですね。さて、先日新作2タイトル(『4 SONGS MAXI CD』と『LIVE BLACK BOX 2』)を同時リリースしましたが、どちらも“今”のラフィンをビンビンに感じることができて良かったです。 PON:バンドがなんか今ノリにのってるんでその勢いが出てんのかな。いつもの感じで作ってんけどすべてが何倍にもなり、結果すごい振り切ったものが出来上がるとゆう。
──おお!! 『4 SONGS MAXI CD』はPONさん2曲、CHARMYさん2曲って感じですが、CHARMYさんが作った2曲はどう思いますか? PON:2曲とも最高にラフィン。今回は特にラフィンって感じで嬉しくなった。
実弾やね。
──逆にPONさんが作った2曲ですが、こうして新曲を作るときはどういうモチベーションで作るのでしょうか? たとえば……今のラフィンに合った曲とか、今自分がやってみたい曲とか、自然にふーっと出てきたものとかいろいろあると思うんですが。 PON:ラブィンに合った曲は絶えず模索してる。あとふと浮かんで出来たものに美味しいのがあったりして、そん中から(ラフィンに)合いそうにないけど、こうゆうの実はいるやろって曲はねじ込む。
──ねじ込む(笑)。「ENEMY」はもう、このコロナのことがいろいろ問題になってから出来た歌詞じゃないですか? PON:コロナ自体は別にええねんけど、それに対する反応がね、右に倣えばかりやと終わってまうやろってのがずっとあって、(歌詞に)自然に出た。この妙な曲調とも重なって結果良かった(笑)。コロナを盾に煽りまくる体制とTVにはさすがにNOやわ。
──♪NOをゆうときがやってくる……ってとこは強くうなずきながら聴きました。「SWITCH STYLE」は意味深なタイトルと歌詞でしたね。 PON:同じ釜のメシを食べたバンドマンで自家用ロケットで月に行けるくらい成功した人がいて。僕は彼のことが当時から好きで応援してたのね。
歌詞の一節で「神様になれるならヒトのままでいい」とあんねんけど、そこさえ今も彼が押さえてたら、他人が何を言おうが関係ないやろと。シニカルなニュアンスもあるけど今でも彼を応援したいって曲。
──CHARMYさんは本作を「地味に出したように見えるけど、VAPでデビューして『SOS』出したくらいの破壊力がある」と言ってました。そのあたりいかがですか? PON:ラフィンにしか出せないポップを、これでもかってくらい如実に出せた。「SWITCH STYLE」のイントロとか他に真似できるバンドがいればやってみろと(笑)。たぶん真似すらもできない。そんなラフィンしか出せない行き過ぎたポップが満載のマキシアルバム。
──たしかにこれはラフィンにしかできない曲ばかりでしたね。もう一枚、ライブ盤『LIVE BLACK BOX 2』もリリースされました。 PON:これはCHARMY発案で、とにかくファンはこれを待ってると。僕は半信半疑でライブ盤か~、正直スタジオ盤より難しそうって思ってて。すごい大変やったよ! 見えない部分でジャケと録音の掃除とかで丸3カ月かかったもん(笑)。
──お疲れ様です(笑)。でも、ファンとしてはたしかにこれは嬉しかったですよ。今のメンバーで生まれ変わったと思う過去の曲があったら教えてください。 PON:「なんとかなるさ」。これは僕のニューウェイブなベース、和物ロックに似非ブラックなベースが入って融合することなくそのまま走っていくとゆう。「夢も希望もない結末」とかもちーちゃんが座ってるのに叩きながら踊ってるので楽しいよ。
──「なんとかなるさ」もそうですが、PONさんがいなかった頃のEMI期の曲についてはやっててどうですか? PON:まぁベースで染め上げて好きになっていくしかないよね。
──なるほど、わかりました(笑)。では、今回の配信ライブを楽しみにしてるファンの皆様に何かお願いいたします。 PON:当日はステイホームで願います。外出中の方もこの時間帯だけは疑似ステイホームでスマホをお開きください。ラフィンの最初で最後の配信をお見逃しなく、よろしくお願いします。