中国では自国の高速鉄道について「中国を代表する名刺」になったと誇りとする人が多いが、実際には中国高速鉄道の路線の多くが赤字経営だと報じられている。中国メディアの騰訊はこのほど、中国高速鉄道の路線の多くが赤字である理由について説明する記事を掲載した。


 中国国家鉄路集団の発表によると、2020年1月から9月までの9カ月間の赤字額は約787億元(約1兆3000億円)に上った。記事は、「これは1日に約2億9000万元(約49億円)の赤字を出していることになる」と指摘した。

 なぜ中国高速鉄道は赤字になってしまうのだろうか。記事は、「コストが高すぎること」が主な原因だと分析した。建設コストは1キロあたり1億5000万元(約25億円)かかっているほか、車両も時速200キロの和諧号でも1億元(約17億円)必要で、時速350キロの復興号に至っては3億元(約51億円)以上かかるという。これに運営コストもかかり、2020年は新型コロナウイルスの影響もあって利用者が減少したことも関係すると説明した。

 しかし、中国はそれでも高速鉄道の建設をさらに進めている。赤字でも建設を進める理由について記事は、「国民の交通の利便性のため」だとしている。また、都市間の往来が活発になることでバランスよく経済が発展していくとし、そのために高速鉄道は重要なツールになっていることも大切な理由だという。さらに、多くの雇用を生み出し、経済全体を押し上げているとその重要性を強調した。

 とはいえ、ずっと赤字では運営し続けるのも難しくなるだろう。この解決方法の1つとして記事は、「海外輸出」によって赤字を補填できると主張した。
例えば、中国が受注したインドネシアの高速鉄道は総工費が60億ドル(約6500億円)になると伝えている。だが、巨額の赤字を黒字に転換するのは容易なことではなく、将来的に大きなリスクになると言えるのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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