米中貿易摩擦が長引くなか、中国にとって日本の半導体産業における事例は大変参考になるようだ。かつて半導体製品で世界を席巻した日本は、その後米国によって競争力を削がれながらも、今は製造装置や材料などに軸足を移し、たくましく生き残ってきた。
記事はまず、中国はこのたびの米中貿易摩擦で「国と国との関係は、永遠に友人関係にはなれず、永遠に互恵関係にある」ことを学んだと紹介し、米中対立では半導体が焦点の1つとなったが、それによって中国は半導体こそ中国経済の急所の1つであり、あらゆる製品に必要な半導体において「中国は材料から製造装置、さらには設計に必要となるソフトウェアまで、ほとんどすべてを他国に依存していたことを認識させられた」と論じた。
続けて、中国の科学技術にとって日本の半導体産業の歴史は「大きな啓発を与えてくれるものだ」と主張し、その啓発とは「1つの産業で急所を押さえることの重要性」であり、「基幹技術を掌握することの大切さ」であると主張した。
日本の半導体製品は最盛期には世界シェアの80%を占めるほど好調な時期があったが、1980年代半ばの日米半導体協定によって競争力を大きく削がれることになった。記事は、それから数十年が経ち、「日本の半導体産業は不振に陥るどころか、新たに別の道を切り開いていた」と指摘し、半導体製品ではなく、材料や製造装置に比重を置いた日本を称賛した。
さらに、韓国に対し、半導体材料の3品目について輸出管理を強化した時は、「あざやかな一手で世界をアッと驚かせた」とし、それができたのも「材料という産業の川上を押さえ、基幹技術を掌握していたからこそ」と論じた。また記事は、日本の方向転換は、半導体で米韓との直接対決を避け、半導体の材料市場で圧倒的な立場を構築するに至ったとし、非常に賢明な判断だったと伝えている。
記事は、かつての日本のように「中国も米中対立をピンチをチャンスに変えて、科学技術を発展させる機会にできる」と言いたいようだ。中国の半導体技術にはまだ発展の余地があるのは事実であり、日本の先例は中国に意欲を与えているようだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)