中国メディア・北京晩報は18日、これまで中国や韓国におくれを取ってきたとされる日本のeスポーツ業界が、高齢者向け産業として大きな発展の兆しを見せつつあることを報じた。
記事は、高齢化が急速に進み深刻な社会問題化している日本において、高齢者のケアや生活の質の向上が大きな課題となっており、日々新たな取り組みや試みが繰り広げられているとし、その一環としてeスポーツが高齢者の生活に融合し始め、高齢者のeスポーツチームさえ誕生していると伝えた。
そして、秋田県にできた全国初の高齢者eスポーツチームは、メンバー全員が65歳以上の高齢者であり、結成から1か月足らずの間にメンバーの数は14人にまで増えたと紹介。メンバーの1人である67歳の女性はそれまでゲームなど全くやらなかったところから、練習のためにゲーム機を購入し、毎日息子と一緒にトレーニングを積むようにまでなるなど、eスポーツを通じて高齢者のチャレンジ精神が呼び起こされるという効果が出ていると伝えた。
その上で、メンバーからは「自分には屋外運動はちょっとむずかしいが、eスポーツを通じて多くの仲間と出会うことができた。そしてスポーツの感動も味わうことができて、とても楽しい」、「互いに競争しあって高め合っている。競技者としての心境を感じることができ、やればやるほど楽しくなってくる」といった非常に前向きな声が聞かれるとした。
また、中高年者向けにeスポーツを普及させる動きはすでに全国各地に広がっており、横浜市では先日50歳以上の人を対象としたeスポーツ体験イベントが行われたことを紹介。イベントはすでに4回めを数えており、主催者が「eスポーツは空間認知能力、視覚的注意力、瞬間的記憶力などあらゆる面で脳に良い影響を与えるので、高齢者への普及に適している」と説明したことを伝えている。
記事は、5G通信技術の発展と端末の開発に伴い、日本のeスポーツ産業の市場規模は2024年に184億円に達すると予測されており、特に高齢者向けのeスポーツ関連産業は未開拓市場として大きな潜在力を秘めていると紹介。また、商業的価値だけでなく、認知症予防や生活の質の向上といった面でも日本の行政やソーシャルケア業界が注目し始めているとした。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)