アジアの経済発展を分析したものに、「雁行形態論(がんこうけいたいろん)」という理論がある。これは、日本を先頭に発展途上国が順に工業化を実現させるさまが、Ⅴ字飛行する雁の群れに似ていることから来ている。
この理論によれば、日本に続いて飛び立ったのはアジアのNIES諸国(韓国、台湾、香港、シンガポール)で、次にASEAN諸国、中国と続き、とうとうベトナムの番になったということになる。
記事は、この理論を提唱したのが日本人であることから、日本を満足させる理論だったと指摘した。その点、中国は日本を満足させられなかったが、ベトナムは日本の望みどおりに発展したと伝えている。
中国が日本の思い通りにいかなかったというのは、中国が雁行形態論から外れた規格外の発展を遂げたためだと主張。この理論からすると、工業化には決まった発展段階があり、労働集約的な軽工業から重化学工業、そしてハイテク産業へと進むのが順当なのだが、中国の場合は包括的に工業化が実現したので理論通りとはならなかったと論じた。
しかし、ベトナムは日本人の思い通りに発展し、日本を満足させているとした。ベトナムの発展はまた、中国にも巨大な利益を与えているという。生産設備や先進的な材料、部品などの川上産業に巨大な市場が生まれたからだ。
日本では近年、あまり雁行形態論という言葉を聞くことがなくなったが、中国としては自分の国が規格外の発展を遂げたという自負があるようだ。また記事からは、アジアの先頭を行くのは自分だという、日本へのライバル心も感じられた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)