結婚するには持ち家があることが条件との考え方の強い中国では持ち家率が非常に高く、都市部における住宅保有率はなんと90%以上に達するという。日本は6割程度なので、中国人の住宅購入の意欲は非常に高いと言える。


 では、不動産に対して強い関心を抱く中国人の目に日本の不動産はどのように映っているのだろうか。中国の動画サイト・西瓜視頻はこのほど、日本で暮らす中国人女性による「モデルルーム見学」の様子を伝える動画を配信した。

 この女性は家族と日本に住んでいるというが、住み替えを考えて千葉県にある不動産のモデルルームを訪問したそうだ。このモデルルームには、現代の日本人が求めるものがたくさん詰まっていて、需要の移り変わりを感じることができる。まずは玄関から違っていて、入る玄関が家族用と客用に分かれていると伝えた。またキッチン裏には仕事ができるスペースがあって在宅ワークに適応しており、音のしない静音シンクや、デザイン性の高い設備に感心し、とても「現代的」で自分の家とは全然違っていたと感想を伝えている。

 しかし、この女性が特に心を引かれたのは、日本ならではの「防音」と「抗震」構造だ。モデルルームは通りに面しているものの、ガラスが4重になっているので音が気にならず、「外の音が全く聞こえない」と驚いていた。地震対策も、日本の建築業界が得意とするところだ。

 配信者は、この住宅を気に入ったものの300万元(約5300万円)と予算オーバーだったと残念そうだ。しかし、コメント欄には「安い」、「気に入ったならすぐに買ったほうがいいよ」との意見が多数寄せられた。「上海でこれだけのスペックの一戸建てを買えば、350万元(約6200万円)はする」という人もいて、不動産の高騰で感覚が麻痺してしまった中国人にとっては、5000万円超えの家も「安い」と感じられるようだ。


 実際、2020年に発表された住宅平均価格によると、北京が350万元で、深センと上海がそれぞれ345万元(約6150万円)と295万元(約5200万円)だったので、内装と基本的な設備、土地付きで首都圏の一軒家が300万元なら「安い」と思っても不思議ではない。しかし、2021年に入りバブルを警戒した中国政府が価格抑制政策を行った結果、多数の都市で価格が下落したとも報じられている。住宅に対する中国人の感覚も、これからは変わっていくのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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