上海証券取引所の科創板への上場を目指す、蘇州長光華芯光電技術(688048/上海)が3月23日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3390万株を発行予定で、公募価格は80.80元。
同社は2012年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。半導体レーザチップの研究開発、設計、製造を主業務とし、半導体レーザシングルチップやバーとその加工製品である半導体レザモジュール、半導体レーザ装置のほか、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)、光通信チップ製品などを主力商品としている。21年1~6月期の売上高のうち、75.14%が高効率シングルチップ製品、23.39%が高効率バー製品だった。20年における高効率半導体レーザチップの中国国内市場シェアは13.41%、世界シェアは3.88%。
半導体レーザ市場は世界的なスマートデバイス、コンシューマーエレクトロニクス、新エネルギー分野の需要増、医療や美容機器といった新たな応用分野の開拓により安定的な成長を実現しており、2020年の世界市場規模は前年比14.20%増の67億2400万ドルだった。21年は同18.18%増の79億4609万ドルにまで成長したとみられる。
同社の高効率半導体レーザチップはレーザ加工やレーザ切削といった工業レーザ関連装置の重要部品となるほか、科学研究や軍事、バイオ医療などの分野でも広く応用されている。またVCSELはレーザレーダーや3Dセンサーユニットの重要部品となり、無人運転や高度運転支援システム、サービス型ロボット、コネクテッドカーなどの産業で大きな需要が見込まれている。また、光通信チップ製品もIoTやビッグデータ、クラウドコンピューティング、5Gといった新たな情報技術の急成長によりますます大量の高速データ通信が求められる中で、市場規模の拡大が期待できる分野だ。
同社は高い技術力、幅広い製品ラインナップを強みとする一方で、経営規模が小さいことによる研究開発力不足といった課題を抱えている。また、先端設備部品の国産化を奨励する中国政府の政策により半導体レーザ産業に新規参入する中国企業がますます増え、実力のある外国企業を含めた中国市場の競争が日増しに激しくなっており、競争の激化に伴う製品価格の低下も生じている。
2021年12月期の売上高は4億2908万元(前期比73.59%増)、純利益は1億1531万元(同340.49%増)。2022年3月期の業績予測は、売上高が9000万~1億1000万元(前年同期比16.20~42.02%増)、純利益が2000万~3000万元(同5.50~58.25%増)となっている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)