上海証券取引所の科創板への上場を目指している、中鋼洛耐科技(688119/上海)が5月25日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2億2500万株を発行予定で、公募価格は5.06元。
同社は2006年に中鋼集団耐火材料有限公司として設立した国有企業で、20年に株式会社化するとともに現社名に変更した。20年8月現在、中鋼集団の完全子会社である中鋼科技が筆頭株主で、47.15%の株式を保有している。ミドルレンジ~ハイエンドの耐火材料の研究開発、製造、販売、関連サービスを主業務とする。ケイ素系、マグネシウム系、高アルミナ系、複合系、高純度酸化物、機能性材料、不定型製品、プレキャスト製品の8大系列、200品種あまりの耐火製品を手掛けており、鉄鋼、非鉄金属、建材、石炭化学工業、電力、環境保護、国防・軍事工業など多くの高温工業分野に利用されている。
中国の耐火材料生産量は2013年をピークに減少傾向が続いたものの、17年に底を打つと18年以降は鉄鋼産業などの発展に伴ってV字回復を呈しており、20年の生産量は約2500万トンに達した。また、中国は耐火材料の輸出大国となっており、2018年の輸出額は40億米ドルを超えたが、原料価格の変化や国際情勢によって19、20年と前年比で減少し、20年には30億ドルを下回った。中国政府は近年環境保護や安全監督強化関連政策を打ち出すとともに、生産能力の低い中小企業の淘汰を進めており、耐火材料業界は今後合併などの再編を経て良好な競争環境が構築されるものとみられる。また、ローエンドな耐火材料需要が急速に低下し、高効率、高性能な耐火材料のニーズがますます高まっている。
同社は先進耐火材料国家重点実験室、国家エンジニアリング研究センター、国家耐火材料品質監督検査センターなど多くの研究機関を持つほか、豊富な各種専門技術人材を抱えており、非常に高い研究、イノベーション能力を備えていること、さまざまな技術開発国家プロジェクトを担当し、耐火材料の国家基準、業界基準の主要な起草者となっており、市場における高い認知度、評価を持っていること、幅広い品種の生産体制を確保していること、充実した品質管理体制に裏付けられた安定した製品品質といった強みを持つ。一方で、生産設備の老朽化が進み、自動化、インテリジェント化が遅れていること、生産を行う上での環境保護コストが高いこと、世界的な大手企業に比べて経営規模が小さいこと、国際市場の伸び悩みや貿易摩擦、耐火材料として用いられる高品質な鉱物資源が減少し、原料コストが上昇していることなどがボトルネックとなっている。
また、間接的な株主である中国中鋼集団が2021年12月31日現在で資産総額756億元に対して708億元の負債を抱えており、期日までに債務償還ができなければ同社の支配株主、および間接的支配株主が交代し、会社の経営方針や戦略に一定の影響が生じるリスクを抱えている。
2021年12月期の売上高は26億5453万元(前期比31.53%増)、純利益は2億2430万元(同13.98%増)。22年1~3月期の売上高は6億5596万元(前年同期比3.10%減)、純利益は3888万元(同17.90%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)