深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、昆山亜香香料(301220/深セン)が6月13日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2020万株を発行予定で、公募価格は35.98元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2001年設立の民営企業で、16年に株式会社化した。香料の研究開発、生産、販売を主業務としており、オイゲノールバニリン、フェルラ酸バニリン、ケイ皮酸メチル、ラズベリーケトンなどの天然香料、アリルイソアミロキシアセテートなどの合成香料、清涼剤が主製品。主に食品、飲料の添加物、タバコ、医薬品、飼料、化粧品、紡績、皮革、日用化学品などに広く用いられている。21年12月期の売上構成は、天然香料が50.78%、合成香料が18.17%、清涼剤が31.05%。バニリン系製品では、世界の30%市場シェアを持っている。
 
 世界の香料市場は緩やかに成長を続けており、市場規模は2015年の241億米ドルから19年の281億ドルと年平均5.1%のペースで増加した。市場拡大の主体は発展途上国市場で、なかでもアジア地域の成長ペースが最も速い。中国の一定以上の規模を持つ香料企業の売上高は11年の469億元から17年には660億元と、年平均5.83%のペースで拡大した。一方、中国の香料業界は集約度が低く、1000あまりの中小企業による激しい競争が繰り広げられている状況だ。
 
 同社は中国国内にとどまらず、日本、欧米、東南アジアなどの国・地域でも販売されており、高いブランド力を持っていること、欧州や米国を始め多くの認証を取得し、高品質な生産を実現していること、天然香料を中心に確かな技術力を持っていること、現時点で160種類以上の香料を生産可能で、顧客の幅広いニーズにこたえる製品ラインナップを構築していることなどを強みとしている。
 
 一方で、資金力の不足、人材確保不足が会社のさらなる発展を妨げる要因となっており、上場により資金調達ルート、調達規模を拡大して成長を促したいところだ。
また、海外での売上が全体の約70%を占め、特に米国向けが4割前後を占めているため、国際貿易摩擦が業績に大きく影響する可能性が高い。原材料の高騰、為替レート変動なども経営上のリスクとなっている。
 
 2021年12月期の売上高は6億2103万元(前期比8.05%増)、純利益は9142万元(同16.93%増)。22年1~3月期の売上高は1億8871万元(前年同期比38.60%増)、純利益は3074万元(同79.24%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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