深セン証券取引所のメインボードへの上場を目指している、西安西測測試技術(301306/深セン)が7月15日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2110万株を発行予定で、公募価格は43.23元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2010年設立の民営企業で、19年に株式会社化した。軍事用設備と民間用飛行機製品の検査・測定を主業務とし、信頼性試験、電子部品の検査・スクリーニング、電磁両立性試験などの各種試験サービスを提供するとともに、検査・測定設備の研究開発、生産、販売および電装事業を手掛けている。中国の検査・測定機関資格認定証書のほか、軍事用装備および民間用飛行機製品検査・測定業務資格を持っており、さまざまな軍用設備、宇宙プロジェクト、民間用飛行機の測定・試験任務を担ってきた。また、検査・測定に関連する国家基準の制定にも積極的に参加している。

 2021年12月期の売上構成は、検査・測定サービスが93.72%、検査・測定設備の販売が4.74%で、検査・測定サービスの中でも環境・信頼性試験が62.60%と大きな割合を占めている。
 
 世界の検査・測定市場規模は2010年の860億ユーロから19年には2053億ユーロにまで拡大した。サービスの対象となる業界は工業分野が約52%と半数以上を占め、バイオ科学・食品・環境分野が約22%となっている。中国では2001年の世界貿易機関(WTO)加盟と国内経済の急発展によって検査・測定事業に対する需要が大きく高まった。また近年では既存産業のモデルチェンジ、新興産業の発展、新しい材料や技術の登場に伴って新たな需要も生まれており、業界は活況を呈している。20年末時点で中国の検査・測定機関は4万8919社と前年末に比べて11.16%増え、業界全体の売上高も3585億元で同11.19%増加した。
 
 中国は軍備の強化、近代化を大々的に進めている。
また、宇宙開発にも積極的に取り組み、頻繁にロケットの打ち上げを実施している。さらに、民間航空分野でも保有旅客機の増加、国産旅客機の開発、安全性能確保に対する要求の高まりなどの要素により、各種検査・測定サービスに対する需要は高まる一方だ。現在、従業員100人以下の小型検査・測定機関が全体の9割以上を占めているという乱立状態の状況も、今後は技術力そして資金力を十分に備えた大型企業に集約され、業界全体の成熟が進むものとみられる。
 
 同社は、参入ハードルが高い軍用設備や民間用飛行機製品の検査・測定分野において認証、資格を取得していること、先進的な技術レベルを持ち、国家標準制定に積極的に参加していること、軍事関連工業拠点や研究機関が多く存在する陝西省、四川省にそれぞれ拠点を設けており、迅速で柔軟なサービスを提供できること、関連業界におけるブランド知名度、信頼度が高いことなどを強みとしている。一方で、資金調達の手段が限られていること、全国的なサービスネットワーク構築に至っていないことなどがボトルネックとなっている。また、常に先進的な検査・測定技術が求められること、ひとたび品質問題が発生した時の影響が非常に大きいこと、市場競争の激化、軍事工業関連の顧客に売上が偏っていること、国家機密を扱うことなどが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は2億4553万元(前期比21.43%増)、純利益は6701万元(同34.78%増)。22年1~3月期の売上高は5012万元(前年同期比16.60%増)、純利益は792万元(同13.41%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
編集部おすすめ