香港証券取引所のメインボードに上場している中国の製鉄大手、鞍鋼股フェン(00347/香港)が9月16日、2022年6月期の中間決算を発表した。売上高が前年同期に比べて若干減少するとともに、純利益が大きく減少した。
同社は製鉄を主業務とし、これに関連する鋼材の加工配送、化学工業、クリーンエネルギー、電子商取引、クリーン発電などの事業も手掛ける。遼寧省にある鞍山、営口、朝陽の三大主要生産拠点のほか、国内外に数多くの販売拠点を設けており、熱延鋼板製品、冷延鋼板製品などさまざまな種類の鋼板、鋼管、線材などを機械、冶金、石油、化学工業、電力、鉄道、自動車、建築などあらゆる分野の顧客に提供している。
22年1~6月期の売上高は702億9400万元で前年同期比2.78%減、上場会社株主に帰属する純利益は17億1600万元で前年同期比67.06%減となった。当期の経営状況について同社は、需要の縮小と新型コロナの感染再拡大により中国国内の鉄鋼産業は大きな打撃を受け、鉄鉱石などの原料価格およびエネルギー価格が高騰する一方で鋼材価格は下落し、鋼材の在庫が大きく増加する厳しい状況となり、特に6月に入って状況が一層厳しくなって損失が拡大したと説明している。同社の当期における鋼材生産量は1267万トンで同7.11%減、販売量は1303万トンで同3.62%減だった。
また、当期の研究開発費用は、新製品の試験、研究費用が増加したことにより、前年同期比35.74%増の3億9500万元となっている。
22年7~12月期の展望については、新型コロナの感染継続、世界情勢不安、世界的なインフレ拡大に伴う欧米を中心とした金融引き締め政策といった要素により世界経済が下降線をたどる中で中国国内経済発展環境の不確実性が増している一方、中国政府が打ち出している一連の安定成長措置が徐々に効果を示しつつあることから、鉄鋼分野の需要が徐々に回復する兆候が見えているとした。そして、コスト削減、技術革新、リスク回避能力の向上、省エネ低炭素などに一層取り組み、競争力のさらなる強化を目指すとしている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)