中国各地で複数の商業銀行が住宅ローン金利の引き下げに動いている。中国人民銀行(中央銀行)が20日、同金利の指標となる5年物ローンプライムレート(LPR)を引き下げたことを受けたものだ。
引き下げの動きは北京深セン、蘇州などで見られ、うち蘇州では1軒目の住宅ローン金利が4%を下回る水準まで低下している。中国証券報が21日伝えた。
 このほか、鄭州のある銀行では、まだ正式な通知が出されていないものの、住宅ローン金利の引き下げが確実視されている。LPRと同程度の引き下げが実施される見込みで、その金利水準は1軒目で3.70%、2軒目で4.80%が見込まれるという。
 不動産市場の低迷が長期化するなど、中国では景気回復の勢いが鈍っている状況。モルガン・スタンレーはこのほど発表したリポートで、中国の住宅販売量が6月に2ケタの落ち込みとなり、年初来では1ケタ台半ばのマイナス成長になっていると言及。業界関係者の話として、不動産価格の下落や景気の減速を背景に、住宅購買意欲は冷え込んでいると指摘した。
 人民銀は20日、5年物LPRを4.30→4.20%に0.10%引き下げた。引き下げは10カ月ぶりとなる。5年物LPRは前述のように、住宅ローン金利の指標となるもの。人民銀の規定によると、住宅ローン金利の下限は通常、1軒目で「5年物LPRより0.2%低い水準」、2軒目で「5年物LPRより0.6%高い水準」に設定されている。今回、5年物LPRが4.20%に引き下げられたことで、住宅ローン金利の下限は1軒目で4.00%、2軒目で4.80%に低下した。
ただ、一定の要件を満たす都市は1軒目住宅ローン金利の下限規制が緩和されているため、実質的には下限が4.00%を下回る都市が増えている。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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