新規買い材料に乏しい中、内外の不安材料が意識される流れ。米長期金利の上昇や米中対立の警戒感、中国不動産業の債務問題などが重しとなっている。また、来週は7月の中国経済指標などが集中して公表されるため(15日に鉱工業生産や小売売上高、中期貸出ファシリティ(MLF)金利など、金融統計も15日までに発表)、結果を見極めたいとするスタンスも買い手控えにつながった。指数は小高くスタートしたものの、程なくマイナスに転じている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、不動産デベロッパー大手の碧桂園HD(2007/HK)が8.7%安、ガラス生産大手の信義玻璃HD(868/HK)が4.0%安、太陽光発電用ガラス基板メーカーの信義光能HD(968/HK)が3.6%安と下げが目立った。碧桂園は10日引け後、2023年6月中間期の業績予告を更新し、純損失が450億~550億人民元となる見通しを示している。
セクター別では、中国の不動産が安い。上記した碧桂園のほか、雅居楽集団HD(3383/HK)が4.1%、広州富力地産(2777/HK)が3.2%、龍湖集団HD(960/HK)が2.6%、世茂集団HD(813/HK)が2.3%ずつ下落した。
証券・保険セクターもさえない。中信証券(6030/HK)が5.5%安、華泰証券(6886/HK)が5.3%安、中国人寿保険(2628/HK)が3.7%安、新華人寿保険(1336/HK)が1.9%安で前場取引を終えた。
半導体セクターも売られる。華虹半導体(1347/HK)が6.8%安、上海復旦微電子集団(1385/HK)が2.6%安、晶門半導体(2878/HK)が2.5%安、中芯国際集成電路製造(981/HK)が1.6%安と値を下げた。
他の個別株動向では、粉ミルク中国最大手の中国飛鶴(6186/HK)が12.6%安。中間決算の減益見通しが嫌気された。
半面、通信キャリア大手3社はしっかり。中国電信(728/HK)が2.3%高、中国移動(941/HK)が2.1%高、中国聯通(762/HK)が1.4%高と値を上げた。各社が報告した中間決算は、それぞれ増益となり、配当の増額も予定されている。
そのほか、Eコマース中国最大手の阿里巴巴集団HD(9988/HK)が2.4%高。同社が昨日引け後に公表した4~6月期決算は51%増益となり、市場予想も上回っている。
一方、本土マーケットは反落。主要指標の上海総合指数は、前日比1.19%安の3215.82ポイントで前場取引を終了した。金融株が下げを主導。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)