投資家の慎重スタンスが強まる流れ。中国と西側諸国の関係悪化や中国の景気先行きが不安視されているほか、米半導体大手エヌビディアの決算動向も気がかり材料となった。AI(人工知能)ブームをリードするエヌビディアは28日の米市場引け後(日本時間29日)、四半期決算を報告する。ハンセン指数は前日まで続伸し、約1カ月半ぶりの高値水準を更新していたとあって、利食い売りも出やすかった。主要企業の決算報告が香港で終盤に入る中、業績不振の銘柄が急落したことも全体相場の重しとなっている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、中国ミネラルウォーター最大手の農夫山泉(9633/HK)が10.4%安、中国政府系の華潤電力HD(836/HK)が5.4%安、中国ニット衣料最大手の申洲国際集団HD(2313/HK)が5.2%安と下げが目立った。農夫山泉については、販売の伸び悩みが懸念されている。同社の中間決算では、増収率が8.4%にとどまり、2023年通期の28.4%から急減速した。申洲国際は昼に発表した中間決算は37.8%増益と堅調だったが、好感する買いは限定的。株価は後場から下げ幅を拡大させた。
セクター別では、中国の不動産が安い。華潤置地(1109/HK)が5.2%、中国海外発展(688/HK)が4.6%、万科企業(2202/HK)が4.1%、旭輝(884/HK)が3.3%ずつ下落した。
セメントや鉄鋼の素材セクターもさえない。中国建材(3323/HK)が6.7%安、安徽海螺水泥(安徽コンチセメント:914/HK)が3.3%安、華潤水泥HD(1313/HK)が1.9%安、鞍鋼(347/HK)が3.5%安、馬鞍山鋼鉄(323/HK)が1.9%安で引けた。中国建材が公表した中間決算は赤字に転落。安徽コンチセメントの中間業績は48%減益だった。
半面、医薬品開発受託機関(CRO)など創薬支援関連の銘柄群は物色される。来凱医薬(2105/HK)が4.2%高、康龍化成(北京)新薬技術(3759/HK)が3.4%高、薬明合聯生物技術(2268/HK)が2.2%高で取引を終えた。
他の個別株動向では、江蘇省拠点の翰森製薬集団(ハンソー・ファーマシューティカル・グループ:3692/HK)が13.1%高。同社の中間決算は利益倍増のうえ、配当の大幅増額も予定した(前年同期は0.0707香港ドル、今回は0.2010香港ドル)。ほか、スポーツシューズ生産・販売の安踏体育用品(2020/HK)が4.5%高。同社の中間決算は63%増益となり、配当の増額方針も示した。
一方、本土マーケットは続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.40%安の2837.43ポイントで取引を終了した。自動車株が安い。酒造株、銀行株、エネルギー株、医薬株、不動産株、半導体株、運輸株なども売られた。半面、発電株は高い。軍事関連株、インフラ関連株の一角も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)