投資家心理が上向く流れ。米景気後退(リセッション)懸念の後退や中国経済対策の期待感が相場を支えている。米国では4~6月期の実質国内総生産(GDP)改定値は速報値から上方修正され、米経済がソフトランディング(軟着陸)できるとの見方が広がった。中国本土では、中国人民銀行(中央銀行)が29日、景気支援に向けた新たな手段を検討していると改めて強調している。人民元高の進行もプラス。30日の上海外国為替市場では、対米ドルの人民元高が進み、昨年6月以来の高水準で推移している。今年前半からの元安懸念が払しょくし、中国マネーの流出懸念もやや薄らいだ格好だ。米中の指標発表を控え、朝方は上値の重い場面がみられたものの、指数は前引けにかけて一段高となっている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(2015/HK)が9.0%高、電子機器製造受託サービス(EMS)中国大手の比亜迪電子(BYDエレクトロニック:285/HK)が6.5%高、中国自動車大手の比亜迪(BYD:1211/HK)が6.0%高と上げが目立った。
セクター別では、中国の保険・証券が高い。新華人寿保険(1336/HK)が11.3%、中国人寿保険(2628/HK)が5.9%、中国太平洋保険集団(2601/HK)が5.0%、中信証券(6030/HK)が4.2%、海通証券(6837/HK)が3.5%、国聯証券(1456/HK)が3.2%ずつ上昇した。中国人寿保険の中間決算は6%増益に上向き(1~3月期決算は9%減益)、中間配当の初実施方針も明らかにしている(前年中間期はなし)。
自動車セクターも急伸。上記したした理想汽車やBYDのほか、小鵬汽車(9868/HK)が9.7%高、蔚来集団(9866/HK)が8.4%高、長城汽車(2333/HK)が8.0%高で引けた。産業支援策を改めて材料視。自動車の買い替え奨励策が4月末に通知される中、各地で買い替え支援の動きが進んでいる。ピックアップトラック・SUV生産の長城汽車については、中間決算の利益5.2倍も好感された。
半導体セクターも物色される。上海復旦微電子集団(1385/HK)が4.2%高、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が3.6%高、華虹半導体(1347/HK)と晶門半導体(2878/HK)がそろって2.9%高で前場取引を終えた。SMICは中間6割減益、華虹は中間8割減益とさえない決算だったが、中国政府がハイテク振興に注力するなか、業績回復が期待されている。
一方、本土マーケットは4日ぶりに反発。主要指標の上海総合指数は、前日比1.34%高の2860.89ポイントで前場の取引を終了した。ハイテク株が高い。不動産株、消費関連株、素材株、インフラ関連株、医薬株、エネルギー株、保険・証券株なども買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)