投資家の慎重スタンスが強まる流れ。米国の対中圧力や米ハイテク株安が逆風となっている。米通商代表部(USTR)はこのほど、米国に入港する中国船などに対し、1回あたり100万米ドル(約1億5000万円)の入港料を徴収する案を公表。また、トランプ米大統領は21日、先端技術や重要インフラ、医療など安全保障に関わる戦略部門への中国からの対米投資を制限するよう関係部局に指示している。昨夜の米株市場では、AI(人工知能)データセンターの投資減速が警戒される中、ナスダック指数が1.2%安と3日続落した。ただ、下値は限定的。各種政策を決定する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の開幕を来週(3月5日)に控え、中国の経済政策に対する期待感が高まっている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、旅行サイト中国大手の携程集団(トリップドットコム:9961/HK)が9.4%安、医療サービス企業の阿里健康信息技術(241/HK)が4.7%安、民営教育サービス事業者の新東方教育科技集団(9901/HK)が4.1%安と下げが目立った。携程が報告した10~12月期決算は7割増益。期末配当の実施と自社株買いの方針を示したが、好感する買いは限られている。
セクター別では、オンライン医療サービスが安い。阿里健康信息技術のほか、訊飛医療科技(2506/HK)が8.8%、京東健康(6618/HK)が3.6%、医渡科技(2158/HK)が2.0%ずつ下落した。
AI技術やクラウドの銘柄も急落。北京第四範式智能技術(6682/HK)が7.3%安、商湯集団(センスタイム・グループ:20/HK)が3.6%安、青島創新奇智科技集団(2121/HK)が3.0%安、金山雲(3896/HK)が6.2%安、微盟集団(2013/HK)が2.1%安で引けた。
半面、自動車セクターは高い。理想汽車(2015/HK)が12.2%、小鵬汽車(9868/HK)が6.0%、吉利汽車HD(175/HK)が4.5%、蔚来集団(9866/HK)が2.0%ずつ上昇した。ほか、通信機器・自動車メーカーの小米集団(1810/HK)が3.5%高。自動運転向けAI(人工知能)のスタートアップ企業、地平線(9660/HK)が8.7%高と値を上げている。
半導体セクターの一角もしっかり。中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が3.8%高、華虹半導体(1347/HK)が2.1%高、上海復旦微電子集団(1385/HK)と晶門半導体(2878/HK)がそろって1.6%高で前場取引を終えた。新興EVや半導体の物色で、ハンセン科技(テック)指数の下落率は0.03%にとどまっている。
一方、本土マーケットは小幅に続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.14%安の3368.24ポイントで前場取引を終了した。金融が安い。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)