雲南省楚雄イ族自治州姚安県の馬遊坪村小学校では、民族文化保護の一環としてかわった取り組みがなされている。授業の合間に実施されてきたラジオ体操に替え、「梅葛」と呼ばれる民族舞踊を行っているのだ。


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 「梅葛」とはイ族に伝わる史詩の一つで、金沙江(長江上流)流域に住むイ族に広く伝承されている。内容は、天地創造から人間の誕生、生活、冠婚葬祭などあらゆる分野に至っている。「梅葛」はもともとこの史詩が吟じられる際の曲調を指す言葉だったが、現在は同地域のイ族の民族舞踊および口承文学の総称とされている。

 姚安県の「梅葛」は昨年、民間文学として国務院が定める国家級無形文化遺産に指定された。しかし、馬遊坪村で梅葛を吟ずることができるのは30人ほどしかおらず、完全に解釈できる人になるとわずか3人にすぎないという。そこで、伝統文化保護の一環として、小学校で「梅葛」舞踊が行われるようになった。このほか、自治州政府は3000万元を投資して、馬遊坪村にイ族梅葛文化生態保護区を建設することを決定している。

 イ族は人口約780万人(2000年)で、中国政府が公認する56の民族の中で8番目に多い。雲南省のほか、四川省、貴州省、広西チワン族自治区などに分布している。(編集担当:古川則仁)

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