18日付中国青年報によると、中国の伝統工芸品づくりが、後継者と材料の払底で、危機的状況を迎えている。

 12月に発表された「全国工芸美術業界調査報告」によると、伝統工芸1865種のうち、「生産停止」は6.72%の117種、「絶滅の危機」は13.57%の253種、「存続困難」は28.74%の536種だ。


 大きな理由は、若者がつらい修行に耐えられなくなったこと。北京市在住で伝統的な人形「絹塑」の制作や技術伝承に取り組んでいる滑樹林さんによると、「この20年で、4人の弟子をとった。長続きした者はひとりもなく、1週間でやめた例もあった」という。

 農村部の伝統工芸でも、状況はほぼ同じ。もともとは農家にとって貴重な現金収入源として発達した側面があるが、若い人は手っ取り早く収入を得られる肉体労働などに就いてしまう。細々と生産を続けているのは、ほとんどが高齢者だ。

 中国工芸美術協会の王山秘書長によると、せめて録画だけでも残し、復活の可能性に賭けようと活動しているが、政府関係の対応が遅く、予算がついたときには「伝承者がすでに他界していた」事例も相次いでいる。

 中国政府が1979年以来、「中国工芸美術大師」に認定した技術者は365人。存命者は290人に減少した。

 また、石材や玉石の加工は1980-90年代に非常に盛んになったが、材料の乱掘がたたり、操業が難しくなった工房も多い。「工芸美術」の名を残しているが生産はほとんどストップし、実際には不動産業など他業種を営んでいる企業も多いという。(編集担当:如月隼人)

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