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◆角川の地獄の旅の始まり
「撮影が始まった時から、終わった今でも心が疲れていて、まるで戦いのようです」と話す中泉氏は、中国を侵略した日本軍の中でも若い兵士の角川役を演じた。角川は南京から2キロ離れた塹壕の中で南京城に入るのを待っていた。それは地獄の旅の始まりでもあった。南京で日本人慰安婦の百合子に出会い、人生で初めての愛を経験、戦争と人間性に対して初めて徹底的に反省する・・・。
「南京!南京!」では、角川の視点で多くの細かい場面が描かれているが、角川にとってその全ての「最初」が人生の「最後」になった。
◆ある女性客の言葉に涙
撮影中は日本人俳優として非常に大きなストレスに耐えたという中泉氏。しかし我慢できずに涙を流したこともある。
中泉氏は「こんなにスケールの大きな映画で、うまく自分が演じられるかどうかと考えていました。そして撮影が終わったあとは、この映画を観客はどう感じるかということがプレッシャーになったのです。こうした気持ちは他の俳優も同じだったようです」と語る。
杭州市で行われた試写会では、中泉氏に怒りをぶつける観客もいた。しかしすぐに立ち上がってとサポートする女性も現れ、「日本から中国に来てこのような役を演じるのはなかなか勇気がいること」と言う言葉を聞いた中泉氏は、声を上げずに泣いた。
「今まで自分はこんなに感情的だとは思わなかった」と、中泉氏は当時のことを思い返しながら話し、休憩室に戻ってから声を上げて泣いた理由を「こういう感覚は言葉では言い表せない。心は本当に複雑です。確かにある言葉を聞いた時には確かに辛くなったけれど、泣いたのは罵られたためではなく、ある女性客の『ありがとう、あなたは勇敢な俳優』という言葉を聞いたからです」と説明した。
◆共感した陸川監督の一言
「南京!南京!」に出演することを決めたときから、中泉氏は覚悟していた。「2006年に東京で陸川監督と会い、陸川監督の『ココシリ』を見て、真実を描いている映画だと感じました。そしてこのようなグローバルな映画に出るチャンスはとても貴重だと思ったのです」
陸川監督と初めて会った時の様子について、中泉氏は「監督に初めて会った時の監督が話した一言に共感しました。それは、人と人との間の気持ちを描きたいという言葉です。この映画は心を描くシーンが多く、演技をするにはいいチャンスだと考えました」と語った。家族や友人がこの映画出演を支持しているのかと質問すると、「多くの友人が今回の出演を応援してくれ、自分自身や映画に対して自信を持つことができました」と答えた。(つづく)
※この記事は、「中国網(チャイナネット)日本語版」による提供です。中国網は中国国務院新聞弁公室の指導を受けて、中国互聯網新聞中心が各国語で運営する、中国政府による中国情報ポータルサイトです。URL : http://japanese.china.org.cn/
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