世界的な著名投資家であるウォーレン・バフェット氏率いる米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイが投資する中国の二次電池大手で新興自動車メーカBYD(比亜迪)(1211)の株価が絶好調です。

 バークシャー・ハサウェイは傘下のミッドアメリカン・エナジー・ホールディングスを通じて2008年9月にBYDの新株2億2500万株を総額18億香港ドル(約222億円、1株当たり8香港ドル)で取得しています。


※1香港ドルは11.5円前後(2009年9月16日現在)

 現在、BYDの株価は66香港ドル(2009年9月16日現在)となっており、2008年9月の株取得時から1年で8倍以上値上がりしていることになります。

 なぜこれほどまでにBYDの株価は上昇しているのだろうか?

 一つは投資で大成功を収めたバフェット氏が投資する会社ということが他の投資家へ良いイメージを与えることが大きいと言えるのではないでしょうか。

 かつてバフェット氏はBYDと同じく中国株に投資を行っていました。

 投資したその企業は石油・天然ガスの探査・掘削などを行う中国大手で世界的な規模を誇るペトロチャイナ(中国石油天然気)(0857)。

 2003年4月にバフェット氏はわずか4日間でペトロチャイナ株の14%を取得。

 2007年に全ての株を売却した時には巨額の利益をたたき出しています。

 このように過去に株式投資で大成功を収めてきたバフェット氏が投資する企業という理由でBYDが買われた面があると思います(特に個人投資家には)。

 私の中国株仲間でもBYDを10香港ドル以下の時に仕込んでいた方が少ないながらいます。

 そんな仲間に対して私はというと、BYDなんて怪しい電気自動車メーカーだろうとしか思ってませんでしたのでまったく投資対象には入っていませんでした(残念……)。

 さて、このBYDですが既に二次電池のシェアでは世界でトップ3に入る企業へと成長しています。

 そして電池との相乗効果が今後高くなるといわれる自動車業界へも中小自動車メーカーを買収することで参入を果たしています。

 BYDは世界の自動車大手に先駆けて電気自動車の量産を宣言し、年内には家庭用電源で充電できる「プラグインハイブリッド車」を製品化
する予定です。


 自動車という製品は何十万という部品点数で構成される製品(アセンブリ)で、心臓部のエンジン(モーター)を含め、サスペンション、シャシー・ボディ、タイヤ、ギヤボックス、それらを制御するソフトウェアといった物がそれぞれ高い精度で製造・開発され、連携して動作する精密機械です。

 将来、電気自動車や燃料電池自動車が主流となった時には心臓部である電池・モーターを制覇している企業というのは投資先として有望に思えますが、自動車は心臓部だけでは安全に走れません。

 BYDがどのような電気自動車というパッケージを創造していくのか、投資家そして一エンジニアとしても興味があるところです。(執筆者:しむしむ 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

【関連記事・情報】
中国株の下落に対応するために 日本ETFの空売り(2009/09/05)
ボーナスで買った中国株投信、買った途端にピークアウト?(2009/08/22)
バイナリーオプション(BO)を活用した投資戦略(2009/08/08)
新金融商品バイナリーオプションで日経225に挑戦(2009/07/25)
相場の転換点、大手銀行・保険の上場が相次ぐベトナム株(2009/07/04)
編集部おすすめ