日本人シンガーソングライター岡本真夜さんの曲「そのままの君でいて」に酷似しており、「盗作では」との声が高まった上海国際博覧会(上海万博)のPR曲「2010等ニィ来」の作曲者、繆森氏には、過去にも数多くの「盗作疑惑曲」があったことが分かった。天津網などが報じた。


 繆氏は名門音楽大学の上海音楽学院の作曲科で学んだという。卒業後は音楽プロデューサーとしても活躍。歌手の韓雪さんを世に出すなどの実績があり、中国大陸ではポップス音楽界の「重要人物」とされる。

 しかし、代表曲の「百変選択」はメキシコ人歌手のクリスティアン・カストロさんの「アスール(AZUL)」に酷似、韓雪さんの「竹林風」も韓国ポップスに似た曲があるとの指摘があった。

 上海万博PR曲の「2010等ニィ来」では当初、2008年北京五輪の「北京歓迎ニィ」を、「少々、焼きなおしただけ」との批判が出た。その後、「そのままの君でいて」に酷似との指摘が出た。中国メディアも「相当に似ている」、「両曲を聴いたインターネットのユーザーの大多数が、9割以上は同じと表明」などと紹介している。ただし、故意の盗作であるかどうかについては、判断を示していない。

 繆氏は「2010等ニィ来」と「北京歓迎ニィ」の類似が指摘された際には、「多くの歌曲が採用している和声進行。親しまれやすいメロディーを作る上での手法のひとつ」と説明。「2010等ニィ来」は2004年の作曲で、「北京歓迎ニィ」の発表前と、盗作疑惑を否定した。

 「そのままの君でいて」との類似については、「この件で、もう多くを語りたくない」と、回答を拒否した。


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◆解説◆
 楽曲の盗作問題については、判断が難しい場合もしばしば起こる。日本では「知床旅情」(森茂久弥・作曲)が発表された直後、文部省唱歌の「早春賦」(中田章・作曲/吉丸一昌・作詞)との類似が指摘された。ビートルズの「レット・イット・ビー」についても、「リパブリック賛歌」との類似を指摘する声がある。

 伝統歌曲でも同様の類似は発生し、日本民謡の「小諸馬子唄」がモンゴル民謡の「ジャーハン・シャルガ」に極めて似ているとして「渡来したモンゴル人によって伝えられた」との説が発表された。ただし、民族音楽の研究者は「音階構造やメロディーの進行パターンには共通点が多いが、メロディそのものの類似は偶然と考えるべき。両者の発生年代からも、モンゴルから伝わったとは考えにくい」と否定的だ。(編集担当:如月隼人)

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