王さんを育てたのは、陜西省渭南市合陽県の農村部に住む王友仁さん・李景雲さん夫婦。王さんは生後すぐに、親に捨てられた子だった。障害を持ち、女児であることが原因だったと思われる。王娜さんを拾った王友仁さんらは、とにかく育てることにした。しかし、王娜さんは乳が正常に飲めず、長い時間をかけて一滴、一滴与えたという。
離乳期になっても、王娜さんは咀嚼(そしゃく)できなかった。そのため、流動食を与えるか、王友仁さん・李景雲さんがかみ砕いたものを食べさせるしかなかった。王娜さんは小学校に入っても周囲の子にいじめられ、8歳のときに、通学をやめてしまった。李景雲さんによると、とにかく自分の容貌のことで苦しみ、鏡を見ることをしなかったという。
王友仁さん・李景雲さんにはもともとふたりの子がいた。上の子は障害児だった。
2006年4月、王友仁さんは王娜さんを連れ、西安市内の解放軍第四軍医大学病院を訪れ、改善の可能性がないか相談した。病院が診察したところ、王娜さんには先天的に左右の上顎骨(じょうがくこつ)が欠落していることが分かった。顔面頭蓋の中央を占める骨がないため、眼窩・鼻腔・骨口蓋がすべて影響を受けていた。世界的にも珍しいケースという。
医師らは検討を重ねた結果、3段階に分けて手術を繰り返せば、修復は可能と判断。しかし莫大な費用がかかる。病院は、王さんらの家の経済状態も考慮し、無料で治療することに決定した。
手術と手術の間には期間を置かねばならないので、王娜さんの治療には、計4年間がかかった。
養母の李景雲さんは「私たちは、美しい娘を持つことになったのです」と語った。笑顔だったが、両目からは涙が流れ落ちた。
上側写真は、手術前の王娜さん(左)と李景雲さん(右)。王娜さんは発声も困難だったため、「みなさんありがとう」と書いた紙を持っている。写真下は手術後の王さんと李さん。5月17日に撮影。(編集担当:如月隼人)
【関連記事・情報】
・女の子がチュッ!、「聞こえるようになった」でお礼…中国も耳の日(2010/03/03)
・結合双生児の女の赤ちゃん、親に捨てられて発見…中国広東省(2009/12/10)
・パラリンピック重量挙げ女子、中国選手が笑顔の「銀」(2008/09/10)
・身障者芸術団、至芸「千手観音の舞い」を披露-マカオ(2009/05/01)
・産み分け禁止の中国で、病院が「売上増」目的の抜け道(2009/02/21)