シンガポール紙「聨合早報」によると、日本の自動車部品製造メーカー、デンソーの中国・広東省広州市の工場でこのほど、工場労働者による待遇改善を求めるストライキが起こり、現地のトヨタ、ホンダの工場が操業停止に追い込まれた。しかし、中国の主要メディアは、全土に広がりを見せる工場ストライキを取り上げるのに消極的だ。


 同市にあるデンソーの製造拠点「電装広州南沙」でストライキが始まったのは21日。労働者らは毎日出勤するものの、会社側による賃金上昇や待遇改善などの提示が出るまで、工場内をぶらつくなど、「抵抗」を続けている。

 同工場のストライキにより、同市に製造拠点を設ける日本の自動車メーカーのトヨタ、ホンダ両社の製造工場では、部品供給のストップで操業停止に追い込まれている。今後ストライキが長期化した場合、電装広州南沙が部品を供給する米フォード社や、中国の自動車メーカー、上海汽車と独フォルクスワーゲン社による合弁会社「上海大衆」社にまで被害は拡大すると見られ、早急な対応が迫られるのは必至だ。

 しかし、中国の主要メディアは、この問題の報道への消極的な姿勢を見せる。中国の検索サイト「百度(Baidu)」のニュース検索によると、デンソーのストライキを伝えるニュースのヒット件数は、23日午後7時時点でわずか7件。外資系メディアや経済専門サイトなどによる記事のみだった。

 主要メディアのストライキに対する「消極姿勢」は、インターネットや携帯電話を介したストライキの「全土拡大」を憂慮し、労働者らをこれ以上刺激しないように、との配慮が働いたとも考えられる。しかし、ストライキの慢性化は、中国経済の今後に深刻な影を落としかねず、企業努力のみでの解決も限界がある。政府、企業などによる今後の対策が待たれる。(編集担当:金田知子)

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