中国ではインフラ建設の拡大に伴い、シールド機の需要が年々増えているが、皮肉にも、地方の保護主義が外資企業にとって恩恵となり、国内メーカーの成長を妨げている。

 中国工程機械工業協会の茅仲文・副秘書長は「経済参考報」の取材に対して「大連とごく一部の都市を除いては、中国のシールドマシン市場はほぼドイツのヘレンクニヒト社に独占されている」と語った。


 茅氏によれば、全国の大都市の鉄道、河川トンネルなどの建設規模の拡大に伴い、シールドマシンのニーズも増加している。しかし、各都市の地方政府は地下鉄の工事と同時に、地方保護主義のためそれぞれ独自にシールド機工場を設立しており、入札などの市場調節手段は十分に機能していないという。しかし、これらの地方工場は高度な技術をもっていないため、外資企業と合弁するか、海外から輸入するケースがほとんどだ。

 中国メーカー、北方重工の蘇鵬程・総経理は、「入札価格や技術面でわれわれの方が優位であっても、落札できない」と話す。蘇総経理によれば、中国のシールドマシンの市場規模は100億元以上にのぼると見られるが、ドイツのヘレンクニヒト社が7割近くを占め、北方重工のシェアは3割に満たないという。

 地方保護主義の弊害は外資の市場独占にとどまらない。多くの地方のシールド機工場が、単なる“外資製品の組立工場”と化していて、合弁における主体的な役割は外資系企業が担い、利益の7、8割は外資にもっていかれる。最悪の場合、プロジェクトが完了して外資が引き上げてしまえば、後にはコア技術も生産能力もない工場が残るだけとなってしまう。茅氏は、「シールド機の国産化比率の引き上げが必要だ」と話している。(編集担当:中岡秀雄)

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