11月15日、火災発生の通報を受けたのは14時16分、そしてようやく火が消し止められたのは18時30分だった。上海市の高層住宅の火災は4時間以上燃え続けたのである。
中国網(チャイナネット)日本語版は「なぜ、こんなに激しく燃えたのだろうか?」と報じた。

 16日に上海市政府が行った記者会見で、上海消防局の陳飛局長は「分析の結果、今回の火災で消火及び救助にかかった時間は4時間ほどで、都市部の高層住宅の消火・救助活動の難しさが明らかになった」と語った。目撃者の証言によると、いたる所で炎が引火し、マンションはあっという間に猛火に包まれた。ビルがこれほど急速に燃え広がるのはめったにないことである。なぜ、このような大規模な火災になってしまったのか?

 まず原因の一つとして、修理作業のために建物の外壁を囲むようにして組まれていた足場が挙げられる。足場は燃えやすいナイロン製の網で覆われており、踏み場も竹で組まれていた。
そのため、火の手は勢いよく四方八方に燃え広がり、短時間のうちに建物を隙間なく完全に炎で包み込んでしまった。そしてもう一つの原因は風である。火災発生時、風力が強く、炎はあおられ勢いをつけて大火災を招いた。

 陳飛局長は、「高層建築物は普通の建物と違い、住居ビルとオフィスビルでもまた火災のタイプが違ってくる。住居はより可燃性のものが多く、大火災になりやすい。高層建築物は『煙突効果(火災の発熱によって暖められた空気が上昇し、急速に上階に広まる。
また空気の対流が促進されるため、階段やエレベーターシャフトが煙突の役割を果たし煙や有毒ガスが急速に充満する)』が起こりやすいので、救助活動が困難である。また、どの家のドアにも防犯用の鉄格子『防盗門』が取り付けられており、消防隊がドアを壊して救助作業を行うのは容易ではなかった」と述べた。

 今回の火災には45の消防チーム、122台の消防車、1300人以上の軍人が駆けつけ救助活動に参加した。消防隊が現場に到着した時、上層階はすでに炎に覆われていた。200人あまりの消防隊員が燃え盛る炎に果敢に立ち向かい、107人の救出に成功した。

 消火には、300メートル先まで消火できる泡沫(ほうまつ)放射装備の消防車が動員された。
これは上海消防隊が持つ最先端の消防車である。従来の放水型とは異なり、空気を圧縮して使用する。しかし、消防車が現場に到着した時には、火災は立体的に燃え広がっており、消防車1台ではとても太刀打ちできなかった。(編集担当:米原裕子)

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