日中戦争期に中国大陸に兵士として赴いた後に脱走、その後山東省で60年以上にわたり現地での診療活動に従事してきた山崎宏氏が1日、102歳で死去した。中国国際放送局など多数の中国メディアが取り上げた。


 山崎氏は1908年に岡山で生まれ、1937年に日中戦争が勃発すると中国大陸に軍馬の獣医として従軍した。しかし、38年には軍隊から脱走し、以降山東省済南市に住み続けた。終戦後に現地で診療所を開設し、60年以上に渡って奉仕活動として現地市民への無料診療を行ってきた。2009年10月には、日本総理大臣賞を受賞している。

 04年に大病を患ったものの、その後は平穏に過ごしていた。しかし、現地時間1日午後5時ごろ、様子の異変に気付いた家族が救急隊に通報。救急隊が駆けつけたときにはすでに息を引き取っていたという。遺体はその後現地の病院に安置され、2日午前には生前の希望どおり医学解剖のための献体セレモニーが行われた。

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