ドイツメディアはこのほど、北京オリンピックのメーン会場である北京国家体育場、通称「鳥の巣」の設計に携わったことで知られる中国の現代アーティスト・建築家、艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏が、中国当局の弾圧を受けてドイツに移住すると報じた。

 なお、3日付台湾・中央社電は、中国のインターネット情報を引用し、同氏は4月3日、北京空港で出国しようとした際に拘束され、同氏の北京事務所が捜索を受けたと報じた。
同氏の消息は不明という。
 
 29日付のドイツ紙「Berliner Zeitung」は、「艾未未がベルリン市民になった」との見出しで、艾未未氏がすでにベルリン市内の物件を購入しており、スタッフとともに拠点を移す準備をしていると伝えた。

 記事は艾未未氏について、「中国芸術界の最大のスターであり、かつ、中国共産党を批判する急先鋒」とし、中国政府の弾圧が移住の理由としている。しかし、「艾未未は逃避と受け取られることを嫌い、今後も北京での活動を続ける」という。

 記事はさらに、「艾氏の作品は海外のオークションで高値で取引されており、その声望と資金力によって得た独立性を利用して、中国共産党に反抗してきた。中国の若い人にとって、艾氏はインターネット活動家として有名で、独創的な活動を通じて政権の腐敗と冷酷さを暴いてきた。当局はこの芸術家とそのスタッフに対する圧力を日に日に強め、時には軟禁などの手段にも訴えるようになった」としている。

 具体的には、艾氏が上海に建てたスタジオが1月、当局側によって破壊されたほか、2月には中国で行う予定だった初の大型展覧会が阻止されたという。

 中国政府はこの数ヶ月、当局に批判的な態度をとるインテリに対する攻撃を強めており、31日からのドイツのギド・ヴェスターヴェレ外相の中国訪問でも、この問題が主な議題となると見られる。(編集担当:中岡秀雄)

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