クニ河内氏をご存知だろうか。グループサウンズが流行した1960~70年代に、ザ・ハプニングス・フォーのリーダーとして活躍した音楽家である。
「ピカピカの一年生♪」というキャッチーなフレーズでブームとなった「小学一年生」(小学館)のテレビCMソングを手掛けたことでも知られる。なによりも、研ナオコ「あばよ」でレコード大賞編曲賞を受賞し、布施明や野口五郎、中島みゆきなどの作曲及び編曲に携わってきた。これまでに手掛けてきた楽曲は800にのぼる。

 時代を象徴する楽曲を手掛ける一方で、NHK教育番組「ワンツー・どん」に20年近く出演するとともに、児童向け歌謡曲を多く生み出すなどして日本文化の発展に尽力してきた。クニ氏は現在、北海道帯広を拠点に音楽活動を続けている。そんな氏が4月15日・16日に東京を訪れる。南青山マンダラで開催される尾藤イサオ、三好鉄生、真木ひでと、ジャイアン山本、小松政夫、小坂忠、大和田伸也らによるチャリティーライブに出演するためだ。

 このライブはもともと、団塊世代に向けたアルバム「されどわれらが日々」のリリースライブとして開催されるはずだった。東日本大震災の発生により中止も検討されたが、団塊世代が奮起して勇気付けをしたい、という思いのもとチャリティーライブとして開催することを決定した。アルバムの作曲者であるクニ氏やザ・ハプニングス・フォーの元メンバーも出演する。長きに渡り、子供たちに音楽を通じて勇気や希望を与えてきたクニ氏もこのライブに懸ける想いは強い。

 ライブに出演するにあたりクニ氏に電話取材を試みた。
まず、ライブの原点となる団塊世代によるアルバム「されどわれらが日々」を手掛けた当時の話を伺った。

 ―今回の企画者・開田氏から作曲を依頼されたときの印象は

 クニ河内氏 帯広で行ったライブに開田さんが来られました。既に書き上げた歌詞を渡され「一度読んでくれ」と。「見させてもらいますがすぐに返答は難しい」と答えたのですが、持ち帰ってじっくり読んでみると大変良い詩だった。詩に描かれたエピソードが自分のなかにもあった。自分がやりたかった曲のあり方がそこにはありました。

 ―アルバムが出来上がるまでに10年が掛かりました

 普段のレコーディングとは違う気持ちでした。一度録音したものでも、考え直して、更に手直するなど曲に対する思い入れが強かった。できる限り完璧に近いものを作りたいと思っていましたので制作に時間を掛けました。制作しながら月日が流れ、この時の10年間の出来事や気持ちも曲のなかに入っていると思います。今聞いても良かったと思える作品ですし、やり尽くしたという気持ちです。

 ―ライブの矢先に震災が起きました

 被災に遭われた方々の苦悩は計り知れないものがあると思います。
被災地から遠く離れたここの場所でも、世間話しても明るい話題とならないですし、どこかで落ち込んでいるような感じです。それだけ日本全体が衝撃を受けたんだと思います。だからこそ元気付けたいという気持ちが大きいです。歌の力はすごいと思いますし、勇気や希望を少しでも与えられた良いと思います。

 ―ライブに向けて一言お願いします

 これだけ日本全国が落ち込んでいる。私には音楽しかありませんから、音楽を通じて勇気付けしたいですし、今はただただ「ともに頑張りましょう」としか言えません。私たちの音楽、ステージが少しでも活力になってもらえたら…。(編集担当:武田雄樹)

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