沙子河は幅1メートルほどの小さな川だ。近隣住人によると、午後6時ごろに川から強い刺激臭が漂っていた。犬が意識を失って倒れたため、住人が警察に通報した記録もある。爆発発生の約25分前だった。
爆発と同時に、川面から高さ5メートルほどの炎が噴き上がり、近くにいた人は一斉に川と反対方向に逃げた。爆発は何度も連続して発生し、川沿いの家の多くが燃えだした。
李文興さんの家では、爆発音ともに、川に窓している窓のガラスが割れ、炎が部屋の中に噴き出した。李さんは屋外に逃げたがズボンなどに火がついており、隣人らが消し止めた。
しばらくして「火だるま」のようになって、部屋の中から飛び出してきた。李さんは大やけどを負った上、持ち出した現金2万元あまりも、燃えてしまったという。李さん一家は全財産をほとんど失ったため、当面の治療費は親類が支払うことになった。
川沿いにある約2ヘクタールのブドウ農場でも、炎にあぶられて収穫目前のブドウの3分の1が焼けた。ブドウ農場に隣接する養鶏場の経営者によると「人も肝をつぶしただけではない。ニワトリも爆発音や衝撃波で驚いて、十数羽が死んでしまった。卵を産まなくなってしまったニワトリもいる」という。
消防が出動して、15日午前3時ごろまでに、川や川沿いで発生した火災を完全に鎮火した。
沙子河で爆発・炎上が発生した原因はつきとめられていないが、川沿いにある食用油工場の溶剤タンクやタンクに接続するパイプから、可燃性の内容物が漏れ出して、何らかの原因で引火した可能性があるとみられている。現地消防は工場施設の調査を始めた。
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◆解説◆
中国に限らず、食用油を製造する際には原料となる植物種子などから効率よく油の成分を抽出するため、有機溶媒を利用することが多い。
有機溶媒として多く用いられるのはヘキサン(ノルマルヘキサン)と呼ばれる物質。ノルマルヘキサンは灯油やガソリンにも含まれ、ベンジンの主成分でもある。引火点が摂氏マイナス22度の可燃性液体で、取り扱いには十分な注意が必要だ。(編集担当:如月隼人)
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