中国政府が定めている「国家公務員録用体検通用標準(試行)」(=国家公務員採用身体検査通用標準)」では、心臓疾患、結核、重い慢性の消化器疾患、肝炎、B型肝炎ウイルス保菌者など、さまざまな病気を持っている場合、には、「採用試験を不合格とする」と定めている。
性行為感染症では淋(りん)病、梅毒、軟性下疳(かん)、性病性リンパ肉芽腫、尖圭(せんけい)コンジローマ、エイズなどの病気があった場合、不合格とされる。
批判が出たのは、同「標準」の施行にあたって、生殖器官の検査の検査を行うためだ。北京市益仁平センターの性差別問題の責任者である武〓〓氏(女性)は「公務員採用で実施される婦人科の検査は、多くが女性の体の秘密の部位に関係している。しかも、他人に知られない権利を持つ情報を扱っている。医療や保健の目的とはいない」との考えを示した。(〓は火へんに「榮」)
同センターは、公務員採用の身体検査について◆公務員採用における価値は大きくない◆女性の身体のプライバシーを侵害している◆女性の人格の尊厳を傷つけている◆女性に対する間接的差別だ――として、生殖器官についての検査の取り消しを求める意見を発表した。
女性に対しては、「初潮があった時期」や「月経周期」についても質問される。そのため、「職務に関係ない」、「生理不順の女性は職務遂行能力が低いという差別感によるもの」との批判もある。
しかし全国政治協商会議委員で中華医学会副会長の呉明江氏は、「交通警察官が赤緑色覚障害であってはならない。航空機の操縦士が一般人より視力がよくなければならないのと同じ。
呉明江氏によると、医学的な立場では個人のプライバシーに深く立ち入る可能性はなく、「生理も体のつくりも違うので、女性の検査項目は男性よりも多くなる。性差別やプライバシーには関係ない」という。(編集担当:如月隼人)