――沖縄国際映画祭に出席された感想から教えてください。
沖縄は、映画祭に相応しい場所だと感じています。人をリラックスさせる、素晴らしい環境が整っている。そういう環境の中で映画という芸術作品に触れ、見終わった後じっくりゆっくり思い出すことができますね。出品作を連日見ていますが、監督としての目線から大胆でオリジナリティにあふれていると思ったのが『アーティスト』。笑いながら見た楽しいコメディ『タバコイ』は、“生きていることは素晴らしい”と教えてくれた。『SuckSeed』は、現代のタイの子どもたちが恋愛や友情にどう接しているのか理解させてくれる作品。僕が住んでいる都市・香港の作品『桃姐(A Simple Life)』は、命の尊さを伝えている。老人をテーマに正面から撮った作品は、この作品が多分アジアで初めてではないかと思うし、観客を楽しませる要素もあります。まだ見ていない作品もありますが、素晴らしい作品が見事にそろっていますね。すべて見終わった後、沖縄の砂浜をぐる~っと一周しながら、どれが一番良かったか考えるつもりです(笑)。
――日本では香港や中国の映画公開は少なく、情報があまりないというのが現状です。香港映画界のパイオニアであるマイケルさんから見た、今の香港映画界を教えていただけますか。
香港映画は昔、見るだけで香港を理解できる……見ていただいた観客のみなさんが香港テイストを感じる、香港色が強い内容が多かったように思えます。でも中国大陸が大きな市場を解放し、映画監督の誰もが中国大陸を意識するようになりました。中国大陸で受け入れられ、そして香港でも見てもらえるテーマは何なのか、ということをみんな模索している状況ではないかな、と僕は思っています。中国大陸と香港は元々文化的な面での違いが大きいのですが、1997年の返還後に近づいたかと言うと、そうではない部分もある。監督、そして映画関係者は大陸でも受けて香港でも受ける、という中国全体におけるテーマを探しているのではないでしょうか。
――日本ではマイケルさんと言えば、「Mr.Boo!」シリーズと名がついた作品がお馴染みです。たくさんの映画を作っていた70~90年代にはどんな思い出がありますか?
実は自分の作品はあまり見直さないし、振り返りません。だって見てしまうと、あそこを変られるとか、ここはこうすれば良かったと文句が出るから(笑)。最近は作品を撮っていませんが、次は何ができるかなと考えている最中です。今までより、もっと面白いことができるかもしれない!
――マイケルさんより若い世代の映画人が、リメイク作品を手がけていますがどう受け止めていますか? 例えば韋家輝(ワイ・カーファイ)監督の『新世紀Mr.Boo! ホイさま カミさま ホトケさま(原題:鬼馬狂想曲)』は?
この作品は昔を懐かしむテイストの映画で、とても面白かったですね。
――でもやはり、久し振りにマイケルさんの監督作品が見たいです。最近の香港を風刺した作品をぜひ作ってください。
僕自身、その方向で考えています。僕の映画は香港を代表する物であってほしい。見ていただいた方に、今の香港はこうなんだとわかってもらえるような映画を作りたいと思っています。
――楽しみにしています。
多謝! (日本語で)ドウモアリガトウ!
映画祭最終日のクロージング・セレモニーでステージに上がったマイケルは、日本語で「コンバンワ。沖縄スキデス!」とあいさつし、来場者の心をつかんだ。そして「沖縄はとても暑いと聞いていたので、オープニング・セレモニーは水着で参加したんです。