取り壊しが始まったのは、同市昌平区にある「ワンダーランド」。1994年に123.04ヘクタールと東京ディズニーランドの約2.5倍という面積を誇る「アジア最大のテーマパーク」としてプロジェクトが立ち上がり、着工した。
しかし、98年の東南アジア経済危機の影響でプロジェクトは停止。2008年に再始動を決定するも、建設面積は15ヘクタールに大幅縮小。結局プロジェクトが再開することはなく、高さ20メートルの尖塔をはじめ、西洋の城をイメージしたような建物は現在まで14年間放置されることとなった。
以後、ひとびとにすっかり忘れ去られたテーマパークの建設地は「農地に埋められた童話」「世界で最も美しい廃墟の1つ」などと言われ、一部の探検愛好者らに愛されるいわば「心霊スポット」のような存在に成り下がった。
同区は今年1月、建設予定地にショッピングセンターや文化施設、レジャー施設を建設する再開発プロジェクトの実施を決定し、4月から「廃墟」の取り壊し作業が始まった。レジャー施設にテーマパークが含まれるかは、決まっていないという。
何もない郊外の風景に突如現れる建築群は明らかに異様であり、ある意味で「不思議の国」だった。中国網はこの「廃墟」に対し、目先の利益にとらわれ、個性や先の見通しを欠いた「中国式テーマパーク建設」の象徴といったような説明を加えた。その教訓は果たして、現在や未来に生かされるのだろうか。
たくさんの子供たちの笑顔を見ることなく、孤独感と好奇の目にさいなまれ続けてきた不幸な建物たちが、ついにこの地上から姿を消す。(編集担当:柳川俊之)