中国南部の大都市、広東省広州市の紀律検査委員会がこのほど、市当局の幹部の風紀引き締めのため、「10の厳禁」項目を発表した。ナイトクラブやダンスホールに出入りすること、また公用車を私的に使用し、こうした場所やゴルフ場などに駐車しておくことなども禁止とした。
同市がこういった規則を明文化し、発表するのは初めてだという。新快報が7日伝えた。

 中国では習近平国家主席が清廉な政治を目指して公費飲食などによる浪費を戒め、公用車として高級外車を使用することや豪華な庁舎を持つことなどに対する規制も強めている。

 大都市で地方からの出稼ぎ者も多い広州では貧富の格差が大きく、公務員の豪遊や風紀の乱れが市民の怒りを買いやすい。今回の禁止項目発表もこうした怒りをかわすための手段のひとつとみられる。

 記事では、厳禁項目のナイトクラブへの出入り禁止のほかに、公費による高級料理・高級酒の飲食、民間企業経営者との癒着、公用車の私用、勤務時間内に公務以外で娯楽・レジャー関連の場所を訪れることなども禁じたと伝えた。

 こうした、日本人からみれば当たり前のことまで敢えて明文化し、厳禁を言い渡さなければならないほど、当局の幹部たちは公私の区別がついておらず、信頼されていないということなのだろう。

 6日午前に広州駅前で起きた切りつけ事件は犯行の動機が明らかになっていない。ただ雲南省昆明や新疆ウイグル自治区ウルムチなど、最近中国で起きた無差別殺傷事件も合わせ、こうした事件の報道では「当局への不満が背景にある」との指摘が必ず出てくる。公務員の風紀を正して不満の種を減らすこと、そして市民への締め付け強化というネガティブな対策しかできないのだとすれば、中国の社会安定への道のりは遠いと言わざるを得ない。(編集担当:古川弥生)(イメージ写真提供:123RF)


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