中国の生活情報誌「三聯生活周刊」は18日、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)で、日本に伝わる香道を紹介する文章を発表した。

 中国では数年前から、「香道」に対する関心が高まっている。
2009年8月には、中国政府・文化部が所管する中国香道協会が発足した。同会は「中国の伝統香席を復活させる」などと表明しており、自国で香道がいったんはすたれたことを認めている。

 「三聯生活周刊」はまず、自社サイトに日本の香道の紹介記事を掲載。起源について「中国の唐宋時代の文化人が樹立していた複雑なモデルを、日本の貴族が模倣した」と紹介した。

 さらに、日本人には南方の香木などの知識が乏しく、分類に混乱が見られることや、中国では「香文化」と薬学が結びついたが、日本の香道からは薬学関連の知識が欠落したと指摘した。

 ただし同文章が、日本の香道を否定したわけではない。香道について「自然環境と四季の風物との融合」といった独自の発展をとげ、歴史文化、文学、工芸美術などとの「高雅な結合体」になったと指摘。さらに、香の組み合わせを当てあう遊びも発達したと論じた。

 「三聯生活周刊」は記事の一部を微博で発表した。すると多くのユーザーがコメントを書き込み始めた。

 最も多いのが、「われわれが失った伝統は多い。周辺の国や地域から学びなおすことになる」などの意見だ。
「現在は多くのものを日本から学びなおしている」、「われわれには多くの古文書が残っている」と復活に意欲を示すと同時に「でも、どれだけ復元することができるかは、分からない」と不安を示すユーザーもいる。

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◆解説◆
 日本は7世紀から9世紀末の遣隋使・遣唐使により、中国の文化や制度を国家事業として導入した。しかし、すべてを“丸写し”したわけではない。

 日本の政治情勢にそぐわない「科挙」は取り入れなかった。心情的に受けつけられなかったと考えらえる「宦官」も同様だ。他に、「学びきれなかった」と考えられる分野も多い。

 「三聯生活周刊」の主張にある、日本は中国の「香文化」のすべてを取り入れることはできなかったとの言い方は、事実に即したものと考えてよいだろう。

 その他には、「雅楽」も「日本が学びきれなかった文化」のひとつだ。現在も宮中などに伝わる「雅楽」の起源は、娯楽的な音楽である「燕楽(宴楽)」だった。中国における本来の「雅楽」は天や先祖を祭る際の「儀式音楽」であり、高度に体系づけられていたため、当時の日本人には学びきれなかったと考えられる。(編集担当:如月隼人)(「三聯生活周刊」の微博における公式アカウントトップ頁キャプチャー)


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