甘粛省内で、明代に築かれた長城(万里の長城)を3メートルにわたり破壊・撤去したとして、被告の男がこのほど、懲役4カ月・罰金1万5000元(約28万6000円)の判決を言い渡された。蘭州晨報によると、男が長城を破壊した理由は「このままでは、父の墓の風水に悪影響があるから」だったという。


 男は「風水」が説くところの「水」の流れをを作るとして、甘粛省白銀市景泰県内で、長城の西側に長さ15メートル、幅3メートル、深さ1.5-2メートルの溝を掘った。さらに、「水」を父親の墓がある長城の東側に導くとして、長城を約3メートルにわたり破壊した。

 男は人を雇い、重機も投入して作業を進めたという。

 長城の同部分は2006年、全国重要文物保護単位(全国重要文化財保護単位)に指定されていた。破壊を知った甘粛省文物鑑定委員会は破壊を調査し、「後の結果を考えず長城を破壊する深刻な事件」との見方を示した。

 男は2015年8月17日に警察に自首(解説参照)し、犯行の事実を認めた。裁判は、景泰県裁判所で行われた。弁護側は、被告が自首したことを鑑みて、刑を軽くするべきと主張。裁判所も刑法に同規定があるとして、比較的軽い刑を言い渡したという。

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◆解説◆
 日本では「自首」が、「罪を犯したものが、捜査機関に発覚する前」に罪を犯したことを申し出て、処分をゆだねることを意味する。捜査機関が「犯罪の発生」を知らないうちに出頭すれば「自首」と見なされる。犯罪の発生を知っていたとしても、「容疑者の見当が全くついていない」場合には、「自首」と見なされれうる。
裁判の際、被告が自首したとみなされれば、裁判官は刑を軽減することができる。

 捜査機関が捜査の結果、容疑者を特定したいれば「自首」とは認められず、単なる「出頭」の扱いになる。中国の場合、容疑者が特定されていても「自首」と見なされ、刑が軽減される場合がある。

 風水は住居だけでなく墓地の「地相」も重視する。「水」は、「金持ちになれるか貧乏であるか」に関係する要素とされる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF。甘粛省・嘉峪関付近の長城)


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