中国で、「米アップル社が中国企業をパクッた」と、中国で評判になっている。米カリフォルニア州クパチーノ市に建設中の「円環状」の形状をした本社キャンパスが、20年ほど前に完成した山東省の斉魯軟件園に「そっくり」だからという。
中国メディアの参考消息網が伝えた。他にも多くの中国メディアが同話題を紹介している。

 アップル社の新本社は、故スティーブ・ジョブス氏が2011年に発表した。ジョブス氏は同年中に死去したので、新本社は同氏のアップル社関係者などに対する「置き土産」とも言える。

 ところが、山東省在住のネットユーザーがアップル社の新本社について、山東省済南市にある工業団地の斉魯軟件園(斉魯ソフト・パーク)に酷似していると指摘。香港メディアが同話題を取り上げ、さらに大陸メディアが次々に「パクリとの指摘」などの見出しで報じる事態になった。

 記事は、「中国大陸部の建築物は、外国人から常にパクリと指摘されてきた。外国の有名建築物のコピーということだ」と紹介した上で、アップル社の新キャンパスについて「中国の山東にあるソフト・パークのパクリの疑いがある」と話題になっていると伝えた。

 中央の緑地帯や池を大きな園環状のビルが取り囲む構造が「同じ」との指摘だ。ただし、アップル社の新本社では、建物にガラス壁などが採用されているのに対し、斉魯軟件園のビルは白いコンクリート壁だ。

 ネットユーザーは「ジョブスは、斉魯軟件園を参考にしたのかもしれない」、「両方とも大きな園環状のデザインを採用しただけ。パクリとは言えない」と、意見を交わしている。


 中国の福建省には「福建土楼」、「客家(はっか)土楼」と呼ばれる、ユネスコ世界遺産にも登録されている建築群がある。「客家」と呼ばれている人々の歴史的な集合住宅で、中庭を3階から5階建ての園環状の建物が囲む構造だ。大きな「土楼」おn場合には80世帯以上が居住しているという。

 中国では、「どちらも福建の客家土楼のパクリだよ」との意見も披露された。

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◆解説◆
 中国で、他者のアイデアを流用した「パクリ」が多いということは、中国人自身が認めざるをえない現実と言ってよい。それだけに、斬新なアイデアや次の時代を先取りするデザインでITの世界をリードしてきたと言えるアップル社が中国企業によるデザインを「パクッた」との見方に、多くの中国人が飛びついた格好だ。

 「客家」とは、戦乱から逃れるために、中原地方(現在の陝西省、河南省など)などから長い歴史を通じて福建省や広東省などに移った人々だ。「福建土楼」への言及があったことで、図らずしも「昔の中国には、実に独創的で価値ある文化があった」ことが示された。(編集担当:如月隼人)(写真は参考消息の21日付報道の画面キャプチャー)


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