昨今日本の薬品が中国の人びとの間でブームになっているようだが、今から30年ほど前には中国のある薬剤が日本国内でセンセーションを巻き起こしていた。「101」という名前を聞いて何の薬か思い当たる人は、おそらく当時のブームを経験しているはずだ。


 中国メディア・東方網は5日、「101から日本の感冒薬に至るまで」と題した記事を掲載した。101とは、かつて日本で話題となった育毛剤のことである。記事は、現在多くの中国人観光客が日本を訪れ、家電製品に加えて風邪薬をこぞって買って帰る風潮があることを紹介する一方、「しかし、1980年代中期には、中国からやってきた101が日本人を熱中させたのだ」としている。

 そして、101が当時の日本において「多くの脱毛者を救う星となり、髪が生える奇跡を起こした」、「その神秘的な効果は、日本の脱毛者を興奮させて止まず、日本において名声が一気に高まって驚異的な販売量を記録した」と説明。また、日本で話題になったことにより「101は中国の富豪を作るのにも一役買った」と伝えた。

 そのうえで、昨今の中国人観光客による「日本の風邪薬ブーム」に触れ、「この30年で、われわれは何を失ってしまったのか」と問いかけた。その理由として、中国の製造業が「品物がありさえすれば良かった」という過去の貧しい時期の状況から抜け出せず、多くの分野でレベルの低い競争を繰り広げている点を挙げた。

 さらに、今の中国には101のような「オリジナルブランド」が少ないうえ、品質も先進国に及ばないと指摘。それゆえ中国政府が「中国製造2025」を打ち出して「製造強国」を目指そうとしており、そこに医薬分野も含まれているのであると論じた。
 
 101に実際どの程度の効果があったかは定かではない。ただ、「101ブーム」が長く続かず消え去ったことは、考えるうえで参考になるかもしれない。記事はいかに「101が偉大で、日本の人びとを救い、彼らから歓迎されたか」をやや誇張気味に書いている。
しかし、当時の「101ブーム」の背景には、「竹のカーテン」が開かれ始めた謎の国・中国からやってきた「怪しげなもの」という、興味本位の要素が多少なりともあったことは無視してはならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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